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東京中低域新譜情報

東京中低域・新譜
『大寒東京/東京中低域 feat.鈴木博文』

大寒東京

定価 ¥1,260(税込)
2011年12月7日発売 [DQC-818] 真鍮レコード
バウンディ(株) http://www.boundee.jp/ 大寒東京アマゾンページ

featuring
鈴木博文 : VOCAL[01]

●東京中低域
水谷 紹 : BARITONE SAXOPHONE and VOCAL
鬼頭 哲 : BARITONE SAXOPHONE
鈴木広志 : BARITONE SAXOPHONE
鶴田純一 : BARITONE SAXOPHONE
東 涼太 : BARITONE SAXOPHONE
筒井洋一 : BARITONE SAXOPHONE
長野次郎 : BARITONE SAXOPHONE
石川周之介 : BARITONE SAXOPHONE
白坂 勉 : BARITONE SAXOPHONE
宇田川寅蔵 : BARITONE SAXOPHONE
山本昌人 : BARITONE SAXOPHONE
町田長右衛門 : BARITONE SAXOPHONE
上運天淳市 : BARITONE SAXOPHONE
『大寒東京/東京中低域 feat. 鈴木博文』
【収録曲】

1_大寒町 5:35 ゲスト : 鈴木博文(vo)
(作詞作曲:鈴木博文/編曲:水谷紹)
2_欲することは可能なことである 2:27
(作曲編曲:水谷紹)
3_ウィッシュ・ザ・モスト・ワンダフル 4:07
(作詞作曲:水谷紹・高野寛/編曲:水谷紹)
4_届けよう 6:06
(作詞作曲編曲:水谷紹)

 
 




東京中低域『The Last Baritonik』

The Last Baritonik
定価 ¥3,150(税込)
2011年1月12日発売 [DQC-625] 真鍮レコード
バウンディ(株) http://www.boundee.jp/
アマゾンページ
●東京中低域
水谷 紹 : BARITONE SAXOPHONE and VOCAL
鬼頭 哲 : BARITONE SAXOPHONE
鈴木広志 : BARITONE SAXOPHONE
鶴田純一 : BARITONE SAXOPHONE
東 涼太 : BARITONE SAXOPHONE
筒井洋一 : BARITONE SAXOPHONE
長野次郎 : BARITONE SAXOPHONE
井出慎二 : BARITONE SAXOPHONE
石川周之介 : BARITONE SAXOPHONE
白坂 勉 : BARITONE SAXOPHONE
宇田川寅蔵 : BARITONE SAXOPHONE
山本昌人 : BARITONE SAXOPHONE
町田長右衛門 : BARITONE SAXOPHONE
上運天淳市 : BARITONE SAXOPHONE
The Last Baritonik【収録曲】
[試聴]

01. 百本指
02. ポアンカレ予想
03. 鉄骨の部屋
04. そろそ春です
05. イレブン・セブン
06. ヒロシのボンボン
07. ザッケローニ、非ザッケローニ
08. Mike Douglas
   on the Moon With Amethyst
09. 最高のスカート
10. キミノコ(live)

 
 




01_百本指 (One Hundred Fingers)
サックスに限らず、吹奏楽器全般に言える事だと思うのですが、早いテンポでの例えば『ドドドドドドド…』のような同じ音程が連続したフレーズの演奏は非常に困難です。でも楽器の使い勝手で表現したい事を制限されるなんてナンセンス。ツェッペリンの『コミュニケーション・ブレイクダウン』みたいな曲も思いついたらやってみたいじゃない。東京中低域は独自の技術で長きにわたり管楽器奏者を悩ませて来た問題を解決しました。なんかダイソンの掃除機みたいだけど。簡単に説明すると、8分(ぶ)ごとに必ず誰かが『ド』の音を吹いているという10通りの別々のリフレインを10人のプレイヤーが演奏すれば、10連続の力強い『ドドドドドド…』というリフを作る事が出来る、と。しかも8分(ぶ)ごとにテンションがめまぐるしく変化する『C』系のコードの曲を作る事が出来る、と。
10人編成の時に書いた曲なので(現在は14人編成)、ひとり10本指×10人で100本指。あ、右手の親指は使ってなかった、90本だった、ということにタイトルを付けてから気がつきました。サム・レストっていうところでいつも休んでいるかのように思えるけど、いや、右手の親指もアレはアレで大事な仕事をしているのだ、と。サックスを吹くあなたなら判ってくれますよね。そういうことにしといて下さい。
ソリストは東涼太。レコーディングの時、彼は非常に緊張していて、ぼくの望んでいたテイストがなかなか出て来ませんでしたが、それでも最終テイクを録ろうというときには目つきも変わり、ぼくのリクエストした以上の演奏で楽曲をネジ伏せてしまいました。さすが九州男児です。



02_ポアンカレ予想 (Poincare Conjection)
東京中低域の得意とする5拍子の曲です。7拍子も11拍子も得意だけどね。ポアンカレ予想というのは簡単にいうと『単連結な三次元閉多様体は三次元球面S3に同相である』という予想です。あー簡単だ。ウィキペディアの説明を引用しますと『数学的に厳密ではないが、たとえて言えば、宇宙の中の任意の一点から長いロープを結んだロケットが宇宙を一周して戻ってきて、ロープの両端を引っ張ってロープを全て回収できた場合、宇宙の形は概ね球体(ドーナツ型のような穴のある形、ではない)と言えるのか、という問題である』ということでぼくは腑に落としました。
作曲当初から『ポアンカレ予想(仮)』というタイトルがついていて、演奏が落ち着いた頃、その(仮)がとれました。『ポアンカレ』という気の抜けたような言葉の響きに加えて『予想』という数学にあっては凡そアバウトな表現が、ぼくの想像力をカキタテてくれました。ウィキの説明の通り、ぼくは曲の中でロケットにロープを括り付けて宇宙にむけて打ち上げました。帰って来た時には?…音楽ではきっちり結論を出して(終止を付けて)いますが、それがどっちだか判らないところがまたポア〜ンとしていて気にいってます。
ソリストは石川周之介。当初、上運天くんに吹いて貰おうかなと(彼が最もポア〜ンとしているので)考えていたのですが、ヨーロッパツアーの間、ずっと周之介くんに吹いてもらっているうちに、彼の担当に落ち着いてゆきました。毎ステージの前後に「こうしてみてくれないかい」とか「今日のは良かったね」なんて話し合っていけたのが良かったと思います。レコーディングもほぼ一発で決まりました。



03_鉄骨の部屋 (Room of Iron Frame)
東京中低域の作品にはどこかに『日本の香り』や『東京の匂い』を嗅ぎとって頂きたいものだと思いつつ作曲をしています。この曲は特に判り易く表面化していますね。某国で大きな自然災害があり、多くの建物が倒壊して人々が生き埋めに遇いながら何日も救出されないままにある、というニュースに触れて創作を始めました。ベンドは助けを求める声、スタカートのフレーズがそれを阻む建築構造物。また鉄骨は檻。鉄格子の中の死刑囚は護られているのか、閉じ込められているのか。檻の中には自由はないが、檻から出る時は殺される時。
ベンドは上運天淳市と筒井洋一。もっと激しくしても良いところをグッと抑えて吹いています。ウルトラマンの『怪獣墓場』の回に出て来たシーボーズっていう怪獣の泣き声に似ている。シーボーズって怪獣はもう骨だけなんだよ。アレは悲しい話だったな。



04_そろそ春です (t is Soroso Spring)
グレース(ドラマー)と演奏する為に作ったのが最初だったと思います。なのでギターのリフレインから発展した編曲だと言えます。ちょっとキンクスのようなリフが曲を貫いているし、ボーカルも入っているのでロックになりそうなんだけど、ぎりぎりザ・ピーナッツくらいにとどまっていて、前述の“東京中低域の作品にはどこかに『日本の香り』や『東京の匂い』を嗅ぎとって頂きたい”というコンセプトには沿っているでしょう。アルバムに入れようと思い立ったのがレコーディングの直前なので、ほぼ一晩で編曲をしてしまいました。もっとディスコード出来たハズなのですが、あとで自分が歌うのだと気付き、抑制が働いちゃいました。そのトドメ加減が昭和30年代の発展途上のポップス・テイストを呼び寄せたのかも知れません。こんな曲、クレイジーキャッツの映画でかかっててもおかしくないでしょう。
この曲の歌詞は、自動車のパーツを女性の体に例えた『トランプルド・アンダー・フット』のように、男女関係を『畑』『泉』『牧場』に準えて歌う、そうした他愛のない歌のひとつに聞こえましょう。ぼくのワタクシにとっては『不妊治療』というヘヴィーなテーマも奥底に潜めた希望の歌でもあったりします。それはデビュー当時のホモ系と呼ばれた作風とともに、どうしても顔を覗かせてしまう払拭できないワタクシのテーマではあるのですが、聞き取れる人にだけ聞き取ってもらえれば良いというモノですから、聞こえたまま受け取って頂ければ良いです。
歌詞カードが入っていないので誤読(誤聴)されてしまってるかもしれませんが、3番の歌詞は“アナタにだけに開かれる、私の門戸(モンコ)”ですから。鈴木くんが「水谷さん!モロじゃないですか!」って驚いてたけど、違いますから。そんなコト書きませんから。捕まりますから。その鈴木広志がソロ。ソロというかフリー。編曲で荒さ控えめだったので、彼にエントロピーってヤツを増やしてもらいました。実に適切です。



05_イレブン・セブン (Eleven Seven)
ロンドンのバービカン・センターでのライブ録音です。カエターノ・ヴェローゾのアフターアクトだったので、お客さんが帰っちゃわないように攻撃的な楽曲を途切れる事無く演奏しました。お陰さまで溢れんばかりの人々がカブリ付きで聴いてくれました。会場販売のCDもたくさん売れました。全編をお聞かせしたいのですが、ノイズも多かったし、演奏者の希望もあってフェイドアウトをしました。フルサイズのヴァージョンは、いずれスタジオ録音でお届けしますので、お楽しみに。
デュオは東涼太と鈴木広志。もう作曲者のぼくの手を完全に離れて、二人の音楽になっています。二人の演奏を聴いていると、バリトンサックスこそが、この世で最も優れた楽器だと思わされる事があります。ジミヘンがエレキギターでやったレヴォリューションを、彼等はバリトンサックスでやっている、と、早く世界中が気付いてくれれば良いですが。



06_ヒロシのボンボン (Hiroshi's Bonbons)
というタイトルの曲が書きたくって書いた曲です。ソロなのですが、8分音符のディレイがかかっています。清水靖晃さんのサキソフォネッツがリバーヴやエコーを効果的に使っているのを見て、ぼくならこうするって感じで、作曲当初からディレイをかけることを前提に書きました。その発想のルーツには中学の頃ギターで完全コピーしていたのですが、ブライアン・メイの『ブライトン・ロック』のソロ(その頃は『サン・アンド・ドーター』の中間部の即興)というのも意識にありました。もっと自由に吹いてもらっても良いと思っているのですが、鈴木くんは譜面に忠実に吹いてくれています。譜面の中に作者の用意した以上の音楽を見つけるのも、優れた音楽家の才能です。



07_ザッケローニ、非ザッケローニ (Zaccheroni,Non Zaccheroni)
この曲は『十一種』収録の『ロスタイム切腹』に続く、体育会系ナンバーです。高校野球の応援コンバットマーチ独特のモッサリ感、大好きです。そういう風になるように、いつも心掛けています。ところでぼくだけでしょうか、レジデンツやディーヴォを聴いて夏の高校野球を連想してしまうのは。彼等の音楽の、所謂、社会一般の方々が“カッコイイ”と感じるサウンドを、避けて避けて、それでもカッコイイというサウンドを見つけて作ってしまう開拓精神が、偶然にも日本のアマチュアの脱力したチアリング・ミュージックと似ていたという。だから、そのスジでは日本は最先端だともいえるし、その最先端をやっていないと日本発である意味があまりないのだとも言える。言ってる事判りますか?
当初『1020』というタイトルでした。リハーサルにこの曲を持って行った日付けです。それじゃ味気ないので、サッカー日本代表の新監督の名前を付けました。これも偶然なのですが、リフが“ザッケローニ、非ザッケローニ”と聞こえませんか?そのつもりで聴けばそう聞こえる。
フリーは鈴木広志。



08_マイク・ダグラス・オン・ザ・ムーン・ウィズ・アメジスト
   (Mike Douglas on the Moon with Amethyst)

嘗て、某コピー機会社のCM用に書いた曲の没になった素材を再利用して作った曲です。全編スラップ・タンギングで、という指事を入れたものの、出来ないメンバーもいて、しかしそれが独特の和声感を醸し出してくれています。タイトルだけ“ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド”へのオマージュ。かのタイトルの頭文字を並べると…という逸話もそのままパスティーシュ。サウンドだけを捉えると、今作中、最もジャズィーなナンバーかも知れません。
ソロは上運天淳市。これよりも面白いバリトンサックス・ソロがあったら教えて欲しい。世界中の人に聞かせたい、ミラクルなプレイだと思います。



09_最高のスカート (The Cutest Skirt)
水谷のソロ活動のシングル『少年と犬』[ファンハウス/FHDF-1231]のカップリング曲のセルフカヴァー。テキスタイル・カウンシル・ツアー・2008の為にリアレンジして東京中低域でも演奏を始めたところ、聴衆のみならず域員からも好評を得て、レギュラーナンバーとなりました。簡単そうに聞こえると思うのですが、こうした曲の演奏が実は非常に難しい。14人ほとんどが別々のパートを吹いているし、無駄な脚色を排したプレーンな編曲なので、一人でもコケると空中分解してしまうのです。歌も実力を問われる作品なので、舞台では毎度毎度緊張します。レコーディングでは3〜4人ずつブースに入って、和声を上積みして行きました。ラスト・バリトニクはソロ以外を一発録りしてきたので、この曲だけが実は異色なスタジオ録音でした。エンジニアの赤川くんもガーデンの方で録りかったろうなと思います。でも、ぼくは全員で小さな電話ボックスに入って演奏しているような、このサウンドが好きです。



10_キミノコ (Your Child)
第1期の最終コンサートの為に書き下ろした曲で、元々は全員でユニゾン演奏する為に用意した作品でした。たしか前日に15分くらいで書き上げた一筆書きのような曲。2005年あたりのツアーで復活し、毎ステージの一番最後、エピローグとして日替わりでソロで演奏してもらっていました。そのツアーの、たしか大阪だったと記憶しているのですが、鬼頭くんが非常に美しい演奏をしてくれた事が、強烈に印象に残っていて「キミノコは鬼頭くん」とぼくの方が勝手に決めてしまいました。収録されているのは2010年の下北沢440でのライブ演奏なのですが、5年前よりも円やかなプレイになっていたかな。終演後のライブハウスで酔っぱらって眠ってしまう鬼頭くんが目に浮かびます。



★楽曲の解説ということでソリストの事を多く語りましたが、ベーシックトラック作りに於いて非常に重要な役割を果たしてくれた、長野次郎、山本昌人、白坂勉、鶴田純一、町田長右衛門、ダビング作業に貢献した井出慎二、宇田川寅蔵の名前も大切な域員として紹介しておきます。



text:Mizutani Akira(2010/12/25)