IKI-TOMO #1
Recording engineer Shinichi Akagawa was involved in creating the sound for most of the Tokyo Chutei Iki's work.
2010年5月15日(木)15時30分
東京都_学芸大学_ストリップ
赤川新一_アカガワシンイチ_Shinichi Akagawa
レコーディング・エンジニア・プロデューサー_Recording Engineer Producer
(インタビュアー:水谷紹=東京中低域・域長)
『この人たちを生きながらえさせようというタニマチ的な人々が、この世界に一定数いないと駄目だよね。』赤川新一
水谷_何から話そうか?
赤川_何の話するんだっけ?
水谷_じゃあね、バリトンサックス十数本のバンドの録音の秘訣ってのはどう。
赤川_アハハ。
水谷_この対談、本になったら東京中低域のライブ会場でも売ったりすると思うんで、そういうことに興味津々の人が手に取ると思うんだよね。
赤川_うん、オッケー。別にバリサク十数本に限らず、或る種のアンサンブルが完成して、それに録音スタイルが追随していくという感じがあると思うんだよね。勿論その逆もあって、録音スタイルがバンドのサウンドやアレンジを生み出していくっていうこともあるとは思うんだけど。東京中低域の場合は前者だよね。最初にバリサクだけのバンドを組んでさ、でも、みんな何がなんだか判ってなかったじゃん(笑)
水谷_誰もみんな初めてだったからね(笑)
赤川_で、民家でワンポイント録音から始まった訳でしょ。
水谷_うん。
赤川_で、2枚目は湾岸の倉庫で録ったよね。
水谷_『東中』だね。
赤川_1枚目のワンポイント録音を経て、これはやっぱり残響があったほうがアンサンブルがまとまるんじゃないかっていうのが、倉庫での録音を選択した理由だよね。で、3枚目で東京中低域サウンドが確立したっていう実感がオレにはあるんだ。
水谷_3枚目っていうのはコンシピオ・スタジオで録ったヤツ=『インザマス』だね。
赤川_ある程度のセパレーションとアレンジされたものがパンニングされて、アンサンブルすることでバリトンサックス十数本がとてもかっこいいサウンドになったというね。
水谷_オレもそう思う。っていうかオレは最初っからワンポイントで録ったりとか残響のある倉庫で録ったりとかっていう発想の方が意外だったのね。実はずっと“普通に録れば普通に録れるんじゃないか”って思ってたんだけどさ。ドラムセットのドラムに一本ずつマイク立てるようにね。
赤川_正攻法ね(笑)
水谷_ほら、オレはサックスのこと、あんまり判ってなかったし、言い出せなかったのよ(笑)誰も最終形はこうだと断言できないまま、悩んでたよね。でさ、イシモリホールで録った『十一種』も同じ方法論、スタジオコンシピオで録った『インザマス』の延長線上にあるよね。あれさ、ヘッドフォンで聞くとかなり大胆な音がしてるよね。
赤川_スピーカーで聞くとそうでもない?
水谷_うん。密閉式のヘッドフォンで聞くとスピーカーで聞くのと全然違う。スピーカーで鳴らして初めて空気が関与してくる感じ。
赤川_ああ、なるほどね。
水谷_2枚目までは、録音する時に空気のことをさ、いっぱい詰め込んじゃって混乱しちゃったんじゃないかって。素人考えなんだけどね。
赤川_ああ、全部が同じ音であるだけにね。
水谷_ええと、これ種明かししちゃっていいのかな?ミックスの時にディストーションとか歪み系のエフェクト、ガンガンかかってるじゃない?あれは普通にやることなの?
赤川_いやあ・・・、例えばサックスのリーダーバンドではあんまりやらないことだろうね。
水谷_怒るよね、普通(笑)
赤川_本人の要望なく、エンジニアが勝手にかけたら怒るよね(笑)
水谷_キレイに弾いて録った吉川忠英さんのアコギにディストーションかけんのと同じ話だもんね。(笑)でも東京中低域の場合は必要だったと?
赤川_ちょっと歪ませて混ぜる。その為にかけてるっていうのかな。
水谷_1枚目からかけてた?
赤川_たまーに使ってたよ。バリサクって言ってみれば歪んでる音じゃん。EQするよりディストーションかけた方がよりバリサクの音だなって思ってた。
水谷_ミックスしてる後ろからディスプレイ覗きこんだら、真空管のイラストが赤~く灯っててさ。大胆なことしてんだなって思ってた。そういえば2枚目の時、倉庫にアナログのハーフとリボンマイクを持ち込んで録ったよね。あれはどうだったの?
赤川_まあ、試してみたかったんだよね。
水谷_ぼくもストーリーとして“使ってみた”というのは面白かったとは思ってるんだけどね。
赤川_なんか東京中低域の録音って、インディーズのノウハウの蓄積とずっとリンクして来たのかも知れない。予算の問題とか、自分たちの持っている機材の問題とか。例えば1枚目をスタジオ録音するのは無理だったのかも知れないね。思いつきもしなかったテキな。
水谷_予算の問題が大きいとはいえ、そういうモノ(通常のスタジオで録音するモノ)ではない、っていうのはどっかにありました。
赤川_インディーズ録音のハードルが下がって来て、どんどんノウハウも貯まって来た、って感じだよね。
水谷_3枚目にしてやっと普通のスタジオ録音したんだけど、それまでは漠然と大きな場所を探して、そこで一発録音という発想しかなかったかも。
赤川_なんか一度に十数人のバリサクプレイヤーを一つの大きな容れ物の場所に入れて、十数本のマイクを立てて録音して、それをミックスするのかなーって・・・誰も全くリアルに判ってなかったんだよ。やっぱ混ざってる音を録るべきなんじゃないのーみたいな発想が出たんじゃないかね、ところがモノゴトはそんなに簡単ではなかった。
水谷_聞きたい音が埋没しちゃってはあとで修正きかないし。やっぱり録音の歴史通りにマルチで録るべきだったんだ(笑)。これが男声合唱とかだと一人一人にマイク立てないじゃない、そういう違いがあったんだよね。オレたちはリードボーカルが十数人いるってことダッタのかも(笑)。
赤川_あー、バリトンサックスが単音だってことも関係あるかもね、混声合唱と何が違うんだろう?声ほどは混じりにくいってことかな?
水谷_混じりにくいし、混じっちゃマズイってこともある。
赤川_そうだ、その両面がある。
水谷_あとから融通がきくのはディバイドされてる素材の方だし、その方がミックスする人もやりがいがあるじゃん(笑)。せーので録ると空気感とか決まっちゃってるし、倉庫のアンビエントも読めないっちゃ読めないものだし…計画的に録れるんならそれも良いんだけど…。
赤川_でもアレは自分が下手だったのもかなり大きいと思う。今だったら出来ると思うし。倉庫がいけなかったのは何故かってのはもう判っていて。たとえばホールなら全然平気だったハズなのよ。残響が一カ所にかたまるじゃない、倉庫って。もうちょっとワイドレンジな残響のあるところで、配列を工夫して、マルチマイクで録音する、ってことをすれば大丈夫だったかもしれない。
水谷_初めて行った場所でライブ録音したのと同じだもんね。
赤川_そういえば、コンシピオで録った時はみんなヘッドホンしてたんだっけ?
水谷_してたと思う。曲にもよるけど、多分してた。
赤川_そうか。その違いも大きいよね。倉庫だとその人数分のヘッドホンが用意するのが無理で、それによるダビングが難しいとか…そういうシバリがあっただろうと思う。
水谷_あと、コンシピオ以降はクリックを使ったりするようになったじゃない。それ以前はダビングはタブーみたいな空気もあったし。一発録りでなければならないみたいな。
赤川_あったねえ。
水谷_読んだ?ジェフ=エメリックの書いた本。レット・イット・ビーの時、ジョン・レノンが「このアルバムはウソの無い正直なアルバムにするんだ」って言って。ジョージ=マーティンに向かって「アンタがいつもやっている編集もオーケストレーションも無しだ」って言って、せーのでうまく録れるまで30何テイクも繰り返したって話があるんだけど。最初の頃のボクたちがそうだったかも。
赤川_ハッハッハ。
水谷_そうすると結局、マジックな瞬間が訪れるか、どこかで妥協するか、二つしか無いじゃん。それがオレにはツラかったな。オレ、どっちかっていうと保険かけるタイプの人だからさ、スタジオでキッチリとって差し替えがきくとかパンチインがきくとか、そっちの方がありがたいと思ってた。
赤川_予算の事とかもあるもんね。
水谷_ところで、今年に入って15人編成になってるんだよ。
赤川_女子はいるの?
水谷_いない、いない。そこだけは貫いている。
赤川_アッハッハ。やっぱこのバンドも女子がいると揉めたりするのかね?
水谷_そういうことではないよ。いやー、あるかも知れないけどね。単に見た目ってこともあるけど、ボクの好きなバンドに女の人いないから。ビートルズもツェッペリンも。あ、ムーンライダーズもYMOも、って付け加えておこう念のため。
赤川_アッハッハ。どっかで女性版・東京中低域ってのが出来てても可笑しくないよね。
水谷_どっかにあるかもね。女性版に限らず、バリサクバンドがロンドンあたりに出てくるかなって思ってたんだけど、まだ無いみたいだね。そういえば1回目のロンドンのあと、譜面をくれっていうイギリス人からメールがあったね。別に送ってもいいけど譜面があっても出来るもんじゃないぜってね。
水谷_前回の録音から数年が経ってテクノロジーも進化したじゃない?2010年現在の東京中低域の録り方って何か新しいイメージあるだろうか?
赤川_最近聴いてないからなあ(笑)なんか変わったの?
水谷_基本的には何も変わっていない(笑)。変わりようがないんだけどね。
赤川_じっさい何人なの?
水谷_在籍15名、でも実際に機能しているのは12名くらいだろうか。
赤川_それはパートが増えたの?それとも1パートの人数が増えたの?
水谷_どっちも。同じパートでもちょっと違うことをやってもらうことも可能になったし、ブレスの余地のないパートを複数人で分けて吹いて解決しているケースもある。コンポーザーからすると自由度が増したってことは言えますね。
赤川_なるほどね。いつも事前に考えたりしなかったんだけど…次にやるんだったら…たまたま偶然オレが新しいスタジオ作ってて、それが完成したところなのね。そこで録りたいなって思うよ。
水谷_ハワイ?
赤川_その話は頓挫したよ(笑)
水谷_よかった、東京中低域でハワイはあり得ない(笑)
赤川_いや、ハワイなら湿度の影響を受けないから良さそうじゃん。
水谷_そうなの?でもハワイはなあ…。
赤川_そう?東京中低域は意外とどこでもなんでも出来そうなバンドだよね。楽器の持ち運びもコントラバスとかドラムセットみたいに大変じゃないし。
水谷_いや、そういうのと較べるとね、そうだけど。水谷さんがハワイ行くってイメージがソモソモ無いっしょ。
赤川_オレのは千葉に作ったの。
水谷_いいね、近いね。デッカイの?
赤川_デッカイよ。東京中低域で経験したスタジオと比較すると…2枚目の時の倉庫くらいかな…いや、コンシピオの2倍くらいって言った方が判り易いか。
水谷_ああ、そう。コンシピオのエントランス部分も足したくらいって感じ?
赤川_そうそう、そんな感じ。天井も10mくらい。横幅12m、奥行き10mってとこかな。ものすごく響くように作ってあって。
水谷_ものすごく響くってのは、ちょっと悪夢が蘇るんだけど(笑)
赤川_悪夢が蘇るんだけどね(笑)。ま、マイクの置き方やメンバーの配列だよね。悪夢の倉庫と違って、そこは飽くまでもスタジオなのでマイクやヘッドフォンの環境は自由であるから。しかもブースもたくさんあるんで、それぞれがブースに入って、しかも扉を開けて録った音をアンビエンスとして使う事が出来る。とかね。結構やり易いんじゃないかなと思ってる。
水谷_いや予算さえ許せば渡欧前に録りたいとは思ってるんだけどねー。
(この間、大人の話し合いが行われ、予算は無いのだが渡欧前に赤川氏の新しいスタジオ=ストリップ・ガーデンで久々のレコーディングを行ったのでした)
水谷_オレたち録る時ってマイクはどんな風だっけ、覚えてる?
赤川_1枚目はたしかワンポイント録音だったよね、ワンポイントにもう1本マイクを、ソロの人用に立てたくらいだよね。
水谷_マイクは何だった?
赤川_当時使っていたステレオのマイクっていうと、AKGの451。ノイマンの87がソロ用のマイクだったと思う。
水谷_セカンドは?
赤川_レコーダーはプロトゥールスで、マイクは基本的にはサホド増えていないんだよね。借りてきたリボンが1本と、また87が1本と、かな。あと全体を録るステレオ2本と併せて4本だね、基本的には。
水谷_リボンマイクはどこのだっけ?
赤川_RCA-77DX。
水谷_普通は声を録るものだよね。難しかったんじゃないの?
赤川_うん。低音と高音が無いので、光学とかに焼き易いんだよ、フィルムに。そういう特性を利用して、バリトンサックスの倍音を取り除いた音が録れるんじゃないかっていうモクロミのもとに1本持ってったワケよ。
水谷_ふむふむ。
赤川_ふむ。
水谷_マイクそのものは良い状態のモノだったんだよね。あそこの場所(倉庫)じゃなければ違う結果があったかもね。
赤川_可能性はある。そんな風にインディーズバンドなのに、マイクやマイクプリが増えていったね。
水谷_うん。経験と必要性からね。どんどんフィットするものを発見していったよね。それにつれてサウンドがどんどんタイトでカッコよくなってきた。それで「十一種」の時に幸せに辿り着いたって感じ。
赤川_そうだね。
水谷_今、東京中低域を録るならこのマイクってのはある?
赤川_やっぱりオンマイクは87とか47とかだけど、アンビエントで立てて良さそうなのは184っていうのがノイマンから出て、とてもクセの無い空間系の音が録れて重宝しそう。
水谷_コンシピオは別として、今まで普通のことをやってこなかったから、普通のレコーディングもやってみたいんだよね。ちゃんとしたスタジオですべての可能性を出し切るみたいな、ね。
赤川_わかるわかる。
水谷_今うちのバンドもitunesで全世界で誰でもダウンロードして聴ける環境になったんだけど、そういう音源をインナーイヤーのイヤフォンだけでしか聴かない、みたいな環境になってきたじゃない。そういうのは録る方としてはどうなの?
赤川_人によるんじゃないかな。すごく意識してる人とそうじゃない人と。オレは全く意識してない方。
水谷_そうだろうね(笑)作り上げるまでは一番良いものを目指すだけだもんね。
赤川_それだって誤解を含んでいるんだけど、その誤解のパーセンテージを減らしていきたいっていうか。
水谷_オレたちみたいんじゃなくって、リズムの入っているものは聴く環境にもっと左右される気がするのだけど。
赤川_情報量って多ければいいってものじゃなくって、ある程度絞ったほうが再生し易いので、MP3が一概に悪いとは言えない場合がそこにはあるのね。オレが知ってる例では、少し前のU2の、なんかのCMになった曲あるじゃない。
水谷_ウノ、ドス、トレ、カトルーセってやつだよね?
赤川_カッコイイ曲だなと思ってダウンロードしてみたのね。ビデオも買ってさ。で、両方聴くとビデオの方が圧倒的にカッコイイ音してるの。
水谷_へ~。
赤川_ロックな。
水谷_ドシャッとした。
赤川_そう、で、モノラルなわけ。お~とか思うんだけど、CDバージョンの方をダウンロードしたら、エッジが左にいるし、真ん中にドラムベースいるし。そのグシャッとした真ん中のドラムベースに左側のクリアなギターがね、すっごい変なバランスなわけ。で、ああこれをハイファイと呼ぶのであれば、情報はある程度削がれていた方がいいのかなって思ったのは確かだね。
水谷_話ちょっと遠くなるかも知れないけど、ビートルズのルーフトップセッションってさ、アンビエント無いわけだよね、吹きっさらしの屋上だから。時代テキにも、アンビエントが必須だという発想も無かったと思うんだけどね。だからきっと音源にすごく接近したマイキングだけで録ったと思うのね。でもネイキットが出て聴いてみると良い音だな~って、まあ、オレはかなり音質音痴なんだけど、そう思うんだよね。
赤川_う~ん。
水谷_それでさ、東京中低域のライブ・イン・ロンドンのDVDはビデオカメラの同録の音源使ってるじゃない。オレはアレはドキュメントのつもりで作ったから、カメラに寄ってくるサックスの音はデカくなるし、ベルが反対向いたら音は聞こえなくなるしね。すると「映像は面白いけど音ヒドイね」っていうヒトもいて。臨場感とどっちを犠牲にするかっていったらね、さっきのU2じゃないけどね、オレはハイファイとかはそんなに望んでないのかもしれない。
赤川_そういう文句つけるヒトたちって、どういうヒトたちなの?
水谷_いわゆる普通にサックスの音を聞いて来たヒトたちかな。
赤川_お客さん?
水谷_いや。メンバーの友達とか。ミュージシャンくずれみたいな…。
赤川_なるほどね。それはワリと無視して良い層かも。
水谷_うむ。オレも腹が立ったから無視してる。
赤川_アハハハ。
水谷_無視してるわりにココロにもの凄く残っている。
赤川_アハハハ、わかるわかる、すごいわかる。
水谷_ソコじゃねえんだよとか言いながらね。ま、正直いうと誰かがレコーダー持ってくるだろうと思ってたら誰も持ってこなかったっていう間抜けな収録だったからなんだけどさ。とはいえビデオカメラの音声だってステレオだし、それなにり考えられて作られてるモノだからね。
赤川_ぜんぜん良いと思うけどね。
水谷_今度はもう少しね、ちゃんと残そうと思ってはいるんだ。今はみんな普通にエディロールとかズームとかのポータブルレコーダー持ってるから。…インディーズの発想だけどね。
赤川_ぜんぜん良いよ。マルチ録音は面白くないよ。相当キチンとやらないと。
水谷_うん。計画して録るとさ、計画した通りじゃないと失敗ってことになるからね。
赤川_歳とってから判ったんだけど、否定するのは簡単なんだって。そして何かを否定する事で自分の価値を高めている人が少なからずいるんだなって。
水谷_否定できるだけのモノを自分が持っていると装って自分を偉く見せるってことね。
赤川_なので、そういう人たちとは仲良くなれない事も判った。接点が無い。そう気づいてからはちょっと楽になったかな。
水谷_東京中低域は常にそういう否定の言葉に曝されてるかな。「悪ふざけじゃん」って言われた事もあるし。
赤川_誰が言うの?
水谷_一生懸命普通にジャズやってて、お客も入らないし誰も評価してくれないタイプのミュージシャンだね。東京中低域はエンターテイメントな部分=みんなを楽しませようという部分もしっかり持ち合わせているってことなのだけどね。気に入らないみたいね。でも、腕組みされて眉間にシワ寄せて聴かなきゃいけない音楽なんてオレは真っ平なんで。
赤川_その人は東京中低域のそういうところが聴けなかったわけで。そのことの方が表現者としてよっぽど欠陥だと思うよ。
水谷_そう思ってさ、無視しようと思いながらずっとココロに残っているんだけどね。
赤川_そうなんだ(笑)
水谷_一方にあるんだよね。オレたち悪ふざけなのかなっていう不安が(笑)
赤川_アハハハハ。
水谷_でもさ、海外の大真面目なジャズフェスはオレたちを受け入れてくれてるワケじゃん。やっぱりオリジナルのフォーマットを生み出して完成させたという事を評価出来る人たちは評価してくれてるんだと思う。
赤川_うん。
そんな赤川くんは2018年1月24日に天国へ旅立ってしまいました。この対談からも感じ取って頂けたと思うのですが、同い年ということもあり、なんでも話せる、ボクにとっても東京中低域にとってもほんとうに貴重な存在でした。昨年(2019年)にも開催したのですが、今年も彼を偲ぶ演奏会を開催します。命日の翌日=1月25日に神保町試聴室で。[水谷紹]
< http://shicho.org/2020/01/1event200125/ >
この演奏会の収益を御霊前として赤川くんのご遺族にお渡しします。今年は会場も小さいのでたくさんのお気持ちは集まらないと思いますが、ご存知かな、赤ティンバッジの売り上げや、そうだ、ボクのペインティングしたギター1本(その写真あとでアップしとこうかしらね)、即売会をして、その売り上げも加えようかな。そんな演奏会します。そのご報告をまたここでしましょうね。 [水谷紹]
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東京中低域の海外ツアーにも参加して下さった赤川さん。私が一番記憶に残っているのはブリュッセルの楽器博物館エントランスでの演奏。完全に路上での演奏なのにもかかわらず、SAX ODDITIESでのそのシーンはものすごっっく素晴らしい!まさに赤ちんマジック!語りたいことは山ほどあるけど、ちょっとまとめられないので五月雨式ですが後で投稿します。[筒井洋一]
あのツアー、赤チンは久々のロンドンだったらしくって「これこれ、この感じ」とか言って街を(主に飲食を)とことん楽しんでたよね。ぼくは本番終わると一回気絶して午前3時ごろから仕事してたんだけど、ぼくが気絶してる間もみんなは美味しいところ行ってたんだよね。いい演奏して、いい音録って、飲んで食って寝る、ただそれだけの日々を幾らかでも共にできたのは人生の宝物だ。[水谷紹]