IKI ZOOM TALK

Read the transcript of an online talk live by four old members - Mizutani, Kito, Suzuki and Higashi.

 東京中低域結成20周年記念世代別対談第一世代 

#東京中低域結成20周年記念世代別対談第一世代 に参加しました。

: 鬼頭哲、鈴木広志、東涼太、水谷紹

水谷_東京中低域結成20周年記念世代別対談第一世代始めましょうか、まずは乾杯!

鬼頭_乾杯!

鈴木_乾杯!

東_お疲れ様です!

鈴木_これってアーカイヴ残るんですか?

水谷_残ると思いますが非公開にできるので。消しはしない。

鈴木_気をつけまーす。

水谷_今日はスラック会員のみの限定公開だし、大丈夫ですよ。じゃあ、鬼頭さんから入域の経緯などお話いただけますか?

鬼頭_僕はまだ東京中低域が渋谷のアクタスでリハしてた頃ですかね、季節のこととかも覚えていないんですけど。その頃僕まだ名古屋に住んでたんですよ。2005年まで名古屋から通ってたんで、当時はメンバーの松本健一さんのお宅に泊めてもらい、リハーサルを夜やって、昼ピットインでライブを入れてもらったりして。そんな感じにしてましたね。

水谷_ピットインでは鬼頭さんのソロの演奏やってたの?

鬼頭_いえいえ、松本さんがインプロのギグを入れてくれて。で、東京中低域で面識があったのは松本さんと吉田隆一くん、水谷さんも一応お会いしたことはあったと、そんな感じで。とにかく「これから何やるの?」って感じのリハーサルだったのは覚えています。それで南青山マンダラのライブに。

水谷_それは最初のライブ?5月28日のやつかな?

鬼頭_のハズです。で、その時のメンバーで赤いカーテンの前で写真撮ったのがあって、えっと、ハヅキさんのホームページかなんかで長らく掲載されていました。今はないかもしれないけど、東京中低域で検索するとすぐその写真が割と上がってたような気がします。

鈴木_鬼頭さんはそもそも何で東京中低域に参加することになったんですか?

鬼頭_僕は吉田くん経由で。

鈴木_鬼頭さんはバリトンがメインだったんですか?

鬼頭_僕その頃はまだ色々やってた。名古屋でいろんな仕事してた頃は、それこそソプラノからフルートやクラリネットも全部やって。でも吉田くんと出会った時はバリトン吹きとして出会って。

水谷_じゃあバトンタッチして、鈴木くんのコーナーに。鈴木くんも吉田隆一さんにアクタスでリクルートされたんだよね。

鈴木_えーとですね、正確には柳澤っていうところで。柳澤の工房でリペアしてくれるところがあって。

水谷_小豆沢の方?

鈴木_いえ、新宿にあって。で、そこには高校生の頃から通ってたんですけど、クラシックの人もジャズの人も行くようなところで。ピットインの上にあるんですけど。そこでバリトンを調整してたら、なんか怪しい、黒いバリトンの、なんか痩せた人が声かけてきて。なんか「キミなかなかいいね」みたいなこと言われて。そこ音出しするんですよ、リペアの後とかに。それでみんなに聞こえちゃうんですよ。それでバリトンサックス…、あれ、そこで「リハーサルに一回来てよ」って言われたと思ってたんですけど。でも、僕、東京中低域のライブを見に行ってたことがあって。

水谷_それより前にってこと?それは青マンかな?

鈴木_それはセルマーでやってたんですよ。アクタスが公園通りにあった頃。そんなことありました?

水谷_ありました。

鬼頭_あったような気がします。

水谷_坂を登りきったところに移る前のね。

鈴木_そうですそうです。で、あの、みんな「域」っていうロゴの入った開襟シャツみたいなの着てて。8人?6人くらいだったかな?

水谷_最初はそのくらいだったかな。7人とか。青マンでやった時はもう7人いたと思うんだけど。まあ、休んだり出たりする人もいたから微妙に数は変わってたかもしれないね、当時から。

鈴木_こないだメンバーで入域の経緯を話した時は僕の記憶ではクロッシュで声かけられたからだと思ってたんですけど…調べるとセルマーでのライブの日程って出てくるんですか?

鬼頭_スラックに載ってんじゃないかな?

鈴木_あれはインストアライブみたいな感じだったですよね。

水谷_そうそうそう。あの頃はアクタスにすごく良くしてもらってて。打ち上げとかも連れてってもらったりとか。

鈴木_そのライブがすごく良かったんですよ。僕にとっては。

鬼頭_ほー。

鈴木_すげえ音だなと思って。

水谷_鈴木くんは当時、サックスは何がメインだったの?

鈴木_入試のためにアルトをやんなきゃいけなくって、なぜか。だからアルトがメインでした。でもバリトンがすごく好きでした。初めてサックスやったのもバリトンでしたし、中学校ん時。

東_大学2年の時に、ハタチくらいの時に東京中低域に入ったんだよね?

鈴木_学校のバリトン借りて参加してました。

東_だいたい二年生くらいの時から室内楽が始まるんですけど、その前だから、アルトを吹いてたよね。

鈴木_昨日ライブで久しぶりにアルトを吹いたんですけどカラダ痛くなっちゃって。やっぱバリトンとかテナーの方がカラダの大きさにはあってるかな…。で、初めて出た東京中低域のライブは覚えていなくて、たぶん赤坂グラフィティかな?

鬼頭_ちなみに鈴木くんが見たかもしれないアクタスのライブは2001年の3月3日だって。あってる?アクタスでやったのはそれだけみたい。

鈴木_じゃあそれだ!

水谷_アクタス…そっか、一回だけか。何回もやってる記憶があるけどね。アクタスやった時にNHKの駐車場に行って写真を撮ったりして、それがしばらくアー写になってたんだよね。

東_割と皆さん短パンみたいなやつですか?

水谷_いや、それはスタジオ・コンシピオで。色味は似てるんだけどね、緑っぽくて。新山源一郎さんという写真家が撮ってくれて。探せば出てくるからいつかスラックにあげますが。鈴木くんは明星のレコーディングにはもういたよね?

鈴木_いないんですよ。僕はあのユニクロの倉庫でしたっけ?倉庫に行って、赤チンさんがいて。赤チンさんマイクのところにアタマがくるじゃないですか、音聞くとき。適当に距離で置いちゃうエンジニアもいるけど、楽器のベルのところに赤チンさんが顔を近づけてきて、これブーって吹いていいのかなって。すごい印象的でした。

水谷_ほんとだ明星のインナーに鈴木くんの名前はないね。

鈴木_それのレコーディングはいつなんですか?

水谷_いつだっけかな?

鬼頭_2000年にレコ発ツアーやってるから、2000年のうちなんでしょうね?

水谷_早くレコーディングしようよっていう空気があって。まだ色んなことが出来上がっていないのにレコーディングに突入した感はあったかな。とにかく録っちゃえ、みたいな。時期は…ちょっと思い出しときます。昔のブログがなくなっちゃってるから自分のことがわからないんだよね。

鬼頭_秋に名古屋と大阪を初ツアーやってるんで、その前なんですよね。

水谷_5月にライブやってるから、夏かな。ひょっとしたら6月にはもうやってたかもね。あまり暑かったという記憶もないし。そして、じゃあ、涼太の方に行きましょうか。

東_はい。僕は同級生だった鈴木くんからお誘いを受けまして。「ちょっと色々あって人を入れたい」みたいなお話があってってことで、やってみないかというお誘いでした。

水谷_もう学校は出てた?

東_大学院も出た後なので2006年です。で、僕はライブを見に行く前にオーディション!あるから来て、みたいな。

鈴木_え!一回も見たことなかったの?

東_なかった。

鈴木_なんで?もう僕その時点で4~5年東京中低域にいたのに一度もライブ見てなかったの?ひどいねそれ!

水谷_一回も誘ってなかったんじゃないの?

鈴木_いや、誘わなくても来るんじゃないすか、それ。え、入るまで東中のライブ見たことなかったわけ?

東_なかったよ。で、その時に色んなCDを…。

鈴木_え?入る前に見なかったの?(笑、しつこい)

東_いや、新宿のタワレコでインストアやりました?それは見たかも。その時に吉田さんと話したのは覚えていて。

鬼頭_なんで吉田。(笑)

東_いや、違うな、そん時は鈴木も一緒に見てたかな?じゃ東中じゃないかもしれない。とにかくオーディション誘われて、CDでインザマスとか全部聞いて。で今のダカーポのとこですかね、昔練習室のあったところにオーディション行って。水谷さんはその時にはいらっしゃらなくて、会えていないんです。

水谷_それが何年?2005年とか?

東_2005年の終わりかもしれません。で、2006年の1月のクラシックスが初めてのライブだったのは覚えています。

水谷_僕が例の病気で入院してた時だね。

東_ライブの時はいらっしゃって。

水谷_退院できたんですよ、奇跡的にね、ひと月で。そうか、僕のいない時にオーディション受けて入ってたんだね。

鈴木_そうだ!

水谷_ちょうど、だから…僕がロンドン行きを準備しているような時で、で、その年の11月にロンドンだったんだね。

鈴木_それって初ロンドンですか?

水谷_そう、初ロンドン。

鈴木_そうだ、海外がうっすらあるから、メンバー強化したいみたいな感じでオーディションしたのかも。

水谷_がっつり準備始めたのが2005年の9月10月ぐらいで。で、行けそうだなって感触が2005年の終わりにはあって。入院して退院して、本当は2月にもう一度ロンドンに打ち合わせに行くはずだったんだけど行けなくなって、5月だったかにもう一度ロンドンに行ってそこで決めきった感じだったんだよね。だんだん思い出して来た。その頃は石森がまだ風俗っぽい街のほうにあった頃、そこでリハをしてたよね。

鬼頭_やってましたねー。でも数回かな。

水谷_ね。あそこでも色んな音楽が生まれた気がするわ。インザマスのころまではあそこでリハしてた気がする。十一種になるころには石森の新しい地下ホールでね。あれ、十一種ってどこで録音したんだっけ?(全員首をひねる)CDにクレジットしてないかな。

鈴木_今日ってこのYOUTUBEライブ見てる人のこと意識しなくて良いんですか?

水谷_うん。会員限定だし。スラックの方に僕が思い出しつつ書いたバンドの歴史を載せてあるんだけど、今日の対談がそれを補完する形になってくれれば良いかなと。

鈴木_あの、ちょっと裏話、って訳でもないんですけど。東くんを推薦するにあたってメンバーの皆さんには「芸大の主席で」とか「熊本の星」で熊本県民の期待を背負って東京に出て来て本当にすげえやつなんですみたいに皆に言って、で、涼太には東京中低域はもの凄く厳しいバンドでホントに失礼なこととかあったりしないように、っていうことと、音楽的にもみんなホントに音楽に誠実な人たちでフザケタようなことはないしホントに勉強になるから、一度大学卒業するタイミングでこの素晴らしい経験を…。(プツッと画面から消える)

全員_笑

東_どういう消え方だ!これわざとじゃないすか。

水谷_あれ、なんか広志の方でミュートされてるよ。

東_(ラインで)電池が切れたって言ってます。何かを言おうとして。

鬼頭_うまいとこでスパッと切れたね。いやーやってくれるわ。

東_でも、それで履歴書とか作ってった方が良いよって言われて履歴貴書を書いて。あとホームページで皆さんの名前を顔を覚えて行きました。

鬼頭_同じ九州出身の松本さんとか良くしてくれたでしょ。

東_ハイ!

鬼頭_とにかく熊本っていうのが鈴木くんからアピールされてたね。

水谷_熊本の星。松本健一さんは長崎だっけかね。

鬼頭_そうです。

水谷_広志、帰ってこないね。

鬼頭_バチがあたったんですよ。

水谷_なんかZOOMかYOUTUBEのリミッターがかかったのかな。ちょっと広志待ちながらいい話をするとね。東くんが持ってない譜面があったりした時に鈴木くんが僕んとこに来て「水谷さん譜面コピーしてやって下さい。東カネないんでコピー代出せないと思うんで。コピーした紙であげてください」って。広志が言いに来てね。良いとこあるよね。

東_なるほどー(笑)あ、鈴木から電話が。「もしもし?大丈夫、状況理解してるから」(と電話に返事)

水谷_だいぶ焦ってるね。

(ここで鈴木復帰)

鈴木_あれ、iPhoneはバーチャル背景つかえないんすかね。やーすみませんでした、電池が切れちゃって。

鬼頭_鈴木くんがいないおかげで鈴木くんのいい話が聞けたんだよ。

水谷_それでZOOM落ちる前はどこまで話してくれてたっけ?

鈴木_それで、東くんには東中の先輩たちはメチャクチャ怖いからって言って。面接もあるんだけど、それは会社の面接よりも厳しいから履歴書を書いて写真も貼ってちゃんと持って行くように言ったら、涼太ホントに履歴書書いたらしい。

東_あったりまえじゃん!言われたらやるよ、そんなもん。しかも、そのオーディションの日、鈴木は別の予定で来られないとかで、なんか一人で行ったんですよ。それはもう…。

水谷_ちなみにオーディションの審査員は誰だったの?

東_その時は小田島さん鶴田くん

全員_爆笑

東_あれ?鬼頭さんにいらっしゃいましたよね?

鬼頭_うん、多分いたと思う。

東_でも全員ではなくて6~7人ぐらいで。柴野さんもいましたね。

水谷_そんなに囲まれちゃって。

東_一緒に吹きました。ぱっと譜面を渡されて「この曲ちょっと一緒にやってみよう」って感じで。女将不整脈だったかなあ、なんかトリッキーな感じだった気がします。

水谷_もうそれより後はオーディションとかやってないよね?(笑)

鬼頭_オーディションは東くんと上運天くんだけじゃないかな、たぶん。

東_上運天くんもその日一緒に行きました。だから後関さんにいらっしゃったかな?

水谷_そうやって考えるとオーディションでも良い人材は集まるっていうか、別にしなくても入ってもらえば良かったんだけどね。

東_いや、緊張感があって。

鈴木_ウンテンさんも履歴書書いてた?

東_ウンテンさんは書いてない。書いてる訳ないじゃん!

水谷_でも(後日)菓子折り持って来てたよね。鬼頭_そうでした。オーディションを辞退するってことで。

水谷_東京中低域って何度かメンバーチェンジがあって新しい人が入ると変わって行くというか、当然のことなんだけど。それが所謂バンド的なゴタゴタのメンバーチェンジもあるんだけども、なんというかな、例えば鬼頭さんがいない状態から鬼頭さんが入った時とか、鈴木くんが入った時とか、やっぱりサウンドが変わって、そのあと何人か人が抜けて、また入れ替わったりするうちに…僕としては特に鬼頭さんなんだけど「鬼頭さんの発見」みたいなことが東京中低域の中であって、バンドはこうなって行くというのが出来上がって行った感じがするんですよ。それは鈴木くんも同様で鈴木くんタイプの人が当時いなかったんですよね、バリトンサックス界なのかサックス界なのかに、いなくって。ただ鈴木くんも怖がって最初はあんまり音出さなかったじゃない?自分を出さないというか。

鈴木_ああ、そうすよね。

水谷_それがどこかで…インザマスのあたりまで僕もそんなに気づいてなかったんだけど…やっぱロンドンに行く前後くらいかな。その辺で特に鈴木くんに気づき始めた。鬼頭さんに関してはその少し前からなんとなく鬼頭さんのサウンドがバンドにもたらす意味とかに気づき始めていたと思う。そういうのが判って来て東京中低域のサウンドが見えてきた…サウンドの展望が見えて来たって言った方がいいのかな。そういう面白さがね、あったんじゃないかと。そのことに気づけなかったら…それぞれのサウンドにある色々なことに気づけなかったら、今みたいな形にはならなかったかも知んないなと。気づけたのは非常にラッキーだったなと思うんです。

鬼頭_僕もそれ凄く思うんですけど。今いるメンバー、鈴木くん東くんも勿論ほかのメンバーもそうなんだけど、どこかの音楽を持って来たような演奏をしている人がいないんですよ。やっぱりごく初期のメンバーは何かの音楽を持って来たような演奏をする人がとても多かった気がするし。中期にごそっと入って来て割と短期間でバーッといなくなった人たちは、まんまどっかで聞いたことのある音楽をそのまま持って来て吹いただけの人たちだった気がします。なので、ちょうど今、いい感じなんじゃないですか。珍しいと思いますよ、こんなに…サックスっつったらジャズだろうとか、こういう風だろうとかいう演奏をするタイプの人が少ないバンド、ないんじゃないすかね。というのは凄く思います。

水谷_ごくごく初期からね、非常にスキルの高い人が集まっていたことは確かなんだけどもね。例えば邦和くんとか後関くんみたいな今も第一線で活躍しているような凄腕プレイヤーも最初からいたんだけど、分かれて行く運命にあったんだろうな。人と人との出会いと別れであるから辛いことには違いないんだけど、ま、(フィットするかどうかは)一度は一緒にやってみないと判らないから。一番新しい井出崎くんはいきなり良かったりしたというか。

鈴木_涼太が初めて入った時…ま、井出崎くんと涼太は僕が推薦して入った訳ですけど。涼太が入った時よりも井出崎くんが入った時の方が(馴染むのが)早かったかもしれませんね。

水谷_それは鈴木くんと東くんがいて…今はいないけど上運天くんとかがいて、ちゃんと東京中低域の中に領域があるというか。それこそ”ド”ジャズの人が来ちゃったりするとうちのバンドには居場所がないかも知れないね。今のメンバーはみんな一歩踏み出した新しいこと…ちょっとこう…工夫されたことをやる人が多いよね。

(以下後編へ) 

水谷_こないだ無観客ライブ配信、やったじゃないですか。ここんところシステマの澤井さんとかよく話をするんだけど。今後(アフターコロナ)のライブの形っていうんですかね、どうなって行くのかと。今まで僕らはひたすら良い演奏をしてツアーをしたりして演奏会場に来るお客さんを増やすことに一生懸命だったんだけど、お客さんの増やし方が違って来るし。こないだ(ライブは威信)やってみて、僕は「ライブ」と「ライブ配信」は全く別物だなって感じを得て。こっからどうして行こうかなって、日々考え込んではいるんですけど。元通りに戻るのかな、世界は。

鬼頭_まあ、元通りに戻るというのが一つと、せっかく新しいのが出来たんだから、その2つで行くのが一番良いと思うんですけど。配信というものも多くの人に見てもらえる可能性としてはとても良いものなので。ライブが出来るようになってからもやめてしまうことはない。でも、その内、おそらく元通りのライブは出来るようになるのではないかなと僕は思っています。判んないですけどね。

東_新しいコンテンツが増えはしたけど、今までやって来たナマのライブを見に行くっていう形が無くなるとは思えない、思わない、無くなって欲しくはないですし。それはきっと戻ってくるんではないかと僕も思ってるんですけど。

水谷_時間はかかるでしょうけど、お客さんが入った形での開催はね。この自粛生活が始まった頃、僕は家で静かなピアノ曲みたいなのばかり聴いてたんですよ、窓開けて聴いてても近所から苦情が来ないような。ところが自粛生活も半ばを過ぎた頃からファット・ボーイ・スリムとかばっかり聴くようになって。それこそグラストンベリーとか何万人がひしめき合っているところで「アー・ユー・レデー!!」ってやってるヤツが欲しくなっちゃって。やっぱり人はそうなりたいんだよね。考えてみたらライブ配信というものもコロナになる前からあったわけで、ただ全然火がつかないというかツマラナイという感じがあったんじゃないかなって。「アー・ユー・レデー!!」に匹敵するものが配信でも出来るのであればね、それはそれで素晴らしいと思うんだけど。ああ、ニコニコ動画とか見てる人はそうなってるのかも知れないけどね、フェスになってるっていうかね。

鈴木_ちょっと変な言い方になってしまいますけど、こないだのライブ配信に関しては、東京中低域初の配信に関しては、あのときだけの話ですけど、あのときに関してはDVDとかCDとか東中の上げているYOUTUBEとかと違って、バンド側のコントロールが効きまくってない状態で「ライブハウスが見せる配信」な訳じゃないですか、結局。しかもスターパインズも自粛開けの初めてのライブだとか、あと、ぼくらの家族とか友人とか普段東京中低域を見ない、あと東くんみたいに大学生の同級生だけど東京中低域のライブに来ないようなヤツも、こないだのヤツは見た人が多かったんですよ。そういう意味では。普段見ない人、友達とか親とかDVDを買って見ない人ですよね、理由は僕には判らないんですけど、東くん、同級生のライブを見に行かないという東くんのことは理解出来ないんですけど、でも、興味がないとか嫌いとかでもないのに…あ、判った、嫌いかも知れないけど。

東_いや、あのー、単純にそのー、そうね…。

鈴木_4年もあったんだよ。6年か、6年あって友達のやってる東京中低域のライブ行かないってすごいぜ。

水谷_その話のループが凄いね(笑)。

鈴木_ま、それはいいんすけど。コントロール効かない状態だけど、その状態で見に来る人がいるっていうのは、こないだに関しては、僕は結構面白かったなと思って。もちろんバンドのコントロールを効かせて見せたいっていうのは勿論あるんですけど。水谷さんのようにバンドの見せ方を愛している人とか、ふだんから東京中低域のライブをたくさん見てる人にとっては「こういう感じじゃないんだけどなあ、もっと良いのになあ」って思った人もいるかも知れないけど、逆に世界中の人も見られた訳だし。そういうことは「ちょっとヤだな」と思いながらも、初見のひとが見るっていうことが、この1~2ヶ月か1~2年か判らないけど、あるのかなあって感じてます。ライブもお客さん減らしてやるのなんて嫌じゃないですか。あとオーケストラがマスクして始めたとかいうのを見るのとか、凄い悲しいじゃないですか。でもまあ、たぶん「そんなためにやってんじゃねーよ」っていう人も、そういうのが割と好きでガンガンやれちゃう人も、こういう時間を過ごすことになっちゃうんじゃないかなっていうのを感じています。配信とか凄く好きな人って、逆に…いるじゃないですか。凄い信じられないんですけど。凄い元気になっちゃってる人いるじゃないですか。めちゃくちゃダサくて、ライブも超ツマんなくて、つーかその配信自体もめちゃくちゃツマんないのに、でも今すごい活動出来ちゃうから、なんか「1000人超えちゃいました!」とかいうの見るけど、でもなんか機材買うこととか、なんかコレで「今やれることをやらなければ」みたいな、そういうこと言う人いるじゃないですか。

水谷_まあまあ(笑)。

鈴木_そういう人は…落ち着いたら消えて欲しいとか思います。

全員_爆笑

水谷_限定公開だから大丈夫だけど。スラック会員の皆さんも他言は無用でね。ま、良いけどね。確かにみんなそれは口に出さずとも、心に思っていて。

鈴木_で、東京中低域の未来に関しては、日本だけじゃないじゃないですか、活動は。今、海外のオーケストラに入っている友達の情報を見てると…アヤコってどこだっけ?

東_オーストリア。

鈴木_ウイーン?

東_ウイーン。

鈴木_の、オーケストラに入っている人は5月から解禁になって、少しずつコンサートも始まり、自分のオーケストラだけじゃなくって外部の仕事も始まって、「手帳に予定を書き込むことが始まった!」って。で、誕生パーティーとかもやってるって。(6月28日現在)5月から始まって6月になって第2波って感じにもなっていないから、そういう意味では、国によるかも知れないですけど。

水谷_本当に安心出来るのは、ワクチンが出来たりして、予防したり治したり出来るようになってからだけどね。

鈴木_東京中低域がまだ行っていない国々のまだ見たことのない人々には、今までと同じやり方で追求して行けば…行くしかないんじゃないかなって思います。

水谷_そうだね。旅をして。目の前に我々がずらっと並んだところで聴いてもらう、というね。

鈴木_ソーシャル・ディスタンスはとらずに。

水谷_こないだもあの状況の中ではベストを尽くしてやったライブ配信ではあったんだけど。通過儀礼ですよね。やんないとやっぱり今の反省とか次への何かも出てこない。ライブ配信も一つ一つの作品なので音響と映像は…東京中低域というバンドの性質上…そこは完全にコントロール出来る訳じゃないけど、委ねられるスタッフにお願い出来ればね。ライブハウスで演奏を見て頂いているときはお客さん一人一人がアングルを選んで切り取って行くんだけど、やっぱりああいう風になると、お客さんの思いとは別のところにカメラの動きがあると…ね。今までたくさん映像を作って来た立場とすると「ああ、ちょっと損なわれたな」っていうのがなきにしもあらずで。

鈴木_なるほどー。

水谷_大事に大事にヴィジュアル・イメージというのを育んで来たからね。

鬼頭_それは凄くありましたねー。

水谷_これからは生配信じゃなくって、撮って一日たってもいいから整えてから出す方が、なんというか、その方が親切なんじゃないかって気もするんだけどね。

鬼頭_うん。というか東京中低域の曲に関しては意外ともう尺も構成も決まったりするんで、絵コンテ書いて出すのが一番良いんじゃないすかね。このあたりはこの人がフィーチャーされてるんでこの人に寄って下さいとか、この辺は全体撮って下さいとか。その方が向こうも楽なんじゃないすかね。

水谷_ライブ配信というものが回り始めて、ライブハウスもそれが通常営業の一部となって行けば、おそらくは照明さん音響さんに出すようなリクエストシートと同様な感じで撮影班に対してそういうことをやって行くことになるだろうね。

鬼頭_そうですね、スイッチングする人が考えなくていいし、いわれた通りにやれば良いのだから向こうも楽だと思うんですよね。(この前は)全部のカメラがズームを使うっていうのが凄い気になりました。固定のカメラ一個ぐらいないのかよーって。

水谷_全部のカメラがパンしてたしね。

鬼頭_そうなんです、そうなんです。なんかあれじゃあ…っていうストレスがあって。

水谷_カメラ任されたライブハウスのスタッフがじっとしてられなかったんでしょう。「なんかやらなきゃ」ってなっちゃんたんだよね。

鬼頭_みんな昨日までやったことない人ばっかりですからね、そりゃしょうがないですよね。

水谷_スターパインズも初日だったからね、試行錯誤しなければいけなかっただろうから、責めるつもりはないんだけどね。

鬼頭_お互い様でうまく行かないことをやっていかないと、しょうがないですからね。

水谷_ぼくらはタクヒロ監督の手法で慣れてるところがあったからね。「この絵が良い!」っていって画角を決めたカメラはそこにいてくれて、中にいる僕らが動くという。その辺もね、こういう状態が続くのならね、なんならカメラ持ち込んでも良いかなって思ったくらいで。面白い絵の撮れる、例えば超広角レンズのカメラが1つくらいあった方がね。ははは、バンドのくせにそんなことに詳しいオレたち。

(以下さらなる後編へ)

水谷_みなさんの思う東京中低域の醍醐味みたいなもの、なんでしょうね?バンドは20年…涼太は15年。

東_そう…ですね。

水谷_どっかにターニング・ポイントがあってちゃんと続くバンドになってきたと思うんですけども。「個」が出てきたってところなのかな。バリトンプレイヤーがいる、っていうんじゃなくって、鬼頭さんがいる、鈴木広志がいる、東涼太がいる、っていう。そこが自慢のバンドでもあるんですけど。

鬼頭_その辺の醍醐味っていうのは…ぼくは2000年にこのバンドに参加した時にすぐ感じたんですけど。それまでずっと名古屋の、非常にサックスプレイヤーが少ないところで活動をしていたんです。で、ソプラノから何から全部吹いて…なんでも出来る人が重宝がられていたんです。東京中低域に来たら「なんでも出来る人」はホントに必要ないんだなっていうのがよく判った。全員おんなじ楽器やってるじゃないですか。自分がこの中で何が出来るか…色んなことが出来るってことに意味がないってことが判ったというか…。一個だけ、この十人の中で特化したことが出来ることが大事だ、と。そういうのが、今のメンバーそれぞれが、自分の立ち位置みたいなことを思いながら演奏してるのが醍醐味なのかなって気が凄くしてますけどね。

水谷_そうだねー。やっぱり20年というバンドの長さの成せる技だとは思うんだけれど、こないだスターパインズ終わった後に広志が「こんなに休んでたのに全然吹けちゃう、全然平気」って言ってたじゃん。それはね、そんじょそこらのバンドとは違うぜって。色んな場所の色んなシテュエーションで吹き倒してきたじゃん。よその国の石畳の上で、とか、レストランで、とか、お寺で吹いたりとかね。お客さんがいないライブ配信になったとて、演奏は全然出来ちゃって。ブランクがあって何かが足らないってことがまるでなかったのは確かだよね。僕の声がちゃんと出なかったってのはあったんだけど。涼太はどうですか?この中では一番活動歴の浅い新人としては。

東_そうですね…。

鈴木_え、だって涼太はさ、ライブ聞いたことないから判んないよね。

東_しつけーなー。

水谷_そんなこと言ったら僕もないけどね。

鬼頭_オレもないぞー。

東_みなさんそうだと思うんですけど、水谷さんの曲っていうのが大きいかなというのも、凄く思います。

水谷_あ、ありがとうございます。

東_それをみんなで素敵なものにしようっていう気持ちでやってるのはあるんじゃないでしょうか。歌ものの後ろで吹くのも凄く楽しいです。歌もあってインストもあってっていうのも、強い、僕は強いなあとは思ってます、バンドとして。

水谷_最近は全員で歌うしね。

東_そうですね!

水谷_歌、評判良いからね。全員が歌うようなレパートリーも増やしていきたいな。

鬼頭_ホントに評判良いんですか?

水谷_うん、伊都子さんとかアンディーとか、ロンドンでびっくりしてたから。

鬼頭_二人?

水谷_5人くらいからは聞いたよ。ははは。

鬼頭_はははは。

鈴木_僕も6人ぐらいから「歌が良かった!」ってメールがきました。

鬼頭_11人?

水谷_サックス吹いてる人がまさか歌いだすとは思わないから、そのギャップかな。急に歌い始めて綺麗にハモって。出来ちゃってるのは驚きだろうね、最初みなさんもあまり積極的ではなかったけど、あれ凄くウケるじゃん、どこでやっても。お客さんがアレ聞いて喜んでくれるのは快感ではあるよね。やめられなくなっちゃったね。お面のプレーとかもね。さて、もっと話していたいけど、何を話しましょうかね。

鬼頭_(このYOUTUBEライブ)何人見てるのかな?みんな質問はないかい?

水谷_あ、そうだ、井出崎くんから質問が来てたな。「最初に買ったCDは何ですか?」って。

鬼頭_まずCDってところが…。

水谷_そうだよね、CDだったら最近だから覚えてるでしょうけど、最初に買ったレコードとなると…ね。レコードは何ですか?

鬼頭_自分で買ったのか、ねだって買ってもらったのか、どっちを最初ってことにしたら良いのか。(チャット欄を見て)お、永田こーせーくんだ。

水谷_じゃ、僕から。最初に買ったのはたぶんビートルズのシングルの何か。

鬼頭_それは何歳の時ですか?

水谷_それね、小学二年生ぐらいの時かな?

鬼頭_え?

水谷_姉の影響でね。当時ビートルズより前にモンキーズの番組テレビでやってて。で、バンドっていうものがカッコイイなと思っていて。で、おばあさんの家に遊びにいくと必ずレコード屋に連れてってもらってビートルズのシングルを買う。アルバムで言うと自分でお金出して買ったのはレット・イット・ビーぐらいだね。CDでいうともうぐーっとあとになって、ゴドレイ&クレームの「グッバイ・ブルースカイ」とか、そのあたりかな。それはアナログとCDと両方買った覚えがある。鈴木くん東くんはCDでしたかレコードでしたか。

鈴木_レーザーディスクでしょ、涼太は。

東_レーザーディスクあったよ。オペラのレーザーディスク。でも僕は小学生のとき初めてCDプレイヤー買って、そうですね、初めて買ったのはCDですね。

水谷_クラシック?

東_僕はね、友達んちでよくファミコンやってて…ドラゴンクエストのオーケストラ版っていうCDがあって、すぎやまこういちの。それを買った覚えがあります。

水谷_面白いな、この話。

鈴木_それはどこのオケがやってるの?

東_東フィルか、東響か…ちょっと定かではないけれども。

鬼頭_東響だと思うよ。

水谷_はー、世代だね。

東_それ結構聴いてましたね。すげーとか思って。

水谷_80年代?

東_小学校何年だったので、89年とか、80年代終わりくらい、じゃないすかね。

鬼頭_東くんて何年生まれなの?千九百何年?

東_79です。

鬼頭_鈴木くんも。

鈴木_はい。

水谷_で、鬼頭さんは何ですか?最初に買ったレコード或いはCDは。

鬼頭_CDは大人になってからなんで、たぶん井出崎くんが聞きたいものはではいと思うんで。なんですかねー、冨田勲がアレンジしたジャングル大帝のレコードかな。それは買ってもらったと思います、自分のお小遣いではなかった。

鈴木_シンセサイザーのヤツってことですか?

鬼頭_違う違う、ちゃんとオーケストラでやってるの。なんか子供の為の…あ、たぶんオレが欲しいって言ったんじゃなくって、親が買ってくれたのかも知れないんだけど。色んな楽器がこんな役割をしていますっていうことを説明するコーナーが最初に入っていて、その後にジャングル大帝の曲がオーケストラでバーンってやってるレコードを子供の頃に凄く聴いた覚えがある。てか、オレお小遣いがもらえない家だったんですよ。なので自分のお金で何か買うってことが出来なかったのよ。そのかわり本とレコードは頼めば買ってもらえる家だったんで、あまり自分で買ったっていうのは恥ずかしながら社会人になるまでなかったかも知れない。という感じです。

水谷_じゃあ広志は?

鈴木_ぼくはですね、レコードは…あの赤い透明なのもレコードですか?

水谷_ソノシートのこと?ペラッペラのやつ?

鈴木_あれがレコードなんだったら、忍者ハットリ君の曲が入ってるヤツがなんか家にあって、なんかの付録だったと思うのですけど。

水谷_それアレでしょ、アニメ?

鈴木_はいアニメの。

水谷_僕の子供の頃はハットリ君は実写だったんだよ。

鈴木・東_えー!

水谷_完璧なかぶり物でね。

鈴木_音楽は?

水谷_音楽なんか覚えてないな。

鈴木_あ、そうですか。

水谷_ちゃんとしてたと思いますよ、音楽も。お金の掛かった番組だったから。たぶんYOUTUBEとか探したらあるかもよ。

鬼頭_ああ、あります。

鈴木_実写なんだ。

水谷_ハットリくんはお面かぶってたんだけど、ケムマキとかは生の人の顔だった気がする。

鬼頭_アレあのお面、なんなんでしょうね、ライセンス的に辛うじて…。

水谷_ああ、当時はアニメより実写の方がお金掛かんなかったのかもね。

鈴木_「ヤーマを越えー、タニを越えー」っていう音楽でした?

鬼頭_それは鈴木君の時に出来た音楽。

水谷_もうちょっとなんか時代劇っぽかった気がするな。覚えてない、音楽は。

鈴木_で、レコードっていえばそれだけで。あとで調べたら作曲家が湯山昭さんだったんですよ。最近繋がってとっても嬉しかったっていう。でも、自分で買ったのは、買ったっていうか欲しいって言って手に入れたのは、あの…凄く消したい過去っていう感じなんですけど…「魔神英雄伝ワタル」っていうのがあって、それのテーマ曲かエンディングが「ファイト」っていう曲で、高橋由美子っていう人が歌っていて。

水谷_アイドルの。

鈴木_はい、それが唯一の…。ほかはレンタル屋さんとかで借りたりラジオで聞いて録音したりっていう風にしてたんですけど。なんかそれだけ欲しくて買ったんですよね。

水谷_ラジオで聴いて…エアチェックとか、やったね。しかし、これ、まあ何かの資料にはなるか。あと井出崎くんから「今後なにかの株主になる予定はありますか?」だって。

鈴木_ない。まったく興味がない。

水谷_株はやる人はやるけどやらない人はやらないよね。

鈴木_食べるカブは好きです。

鬼頭_俺も好き!鈴木君はカブはどうやって料理するのが好きですか?

鈴木_僕は皮を剥かないのが好きです。皮のまま…この話…(一同笑)。カブの本体より葉っぱの方が好きです。大根も人参も。

東_炒めて食うの?みそ汁にいれたり?

鈴木_そう!ま。あと塩漬けとかさ。

鬼頭_あー、カブの葉の塩漬けはうまいよ!

鈴木_本体よりそっちの方がどっちかっていうと。

水谷_京都の千枚漬けってあれはカブ?

鬼頭_あれは大根です。ん、違うか、なんとかカブか?

水谷_千枚漬けに使わなかった部分の葉っぱがスグキとかになってるの?

鬼頭_いや、スグキは別の葉っぱです。あ、千枚漬けは「聖護院蕪」だって。

(以下、更にさらなる後半に続く) 

鈴木_水谷さん、僕のipadが復活しましたよ。

水谷_ああ、そうですか(笑)自由だね。

鈴木_あ、だめだ。ケーブルが短い。

水谷_ああ、そうですか。

東_そうですか。ハハハ。

水谷_自由にして下さい。

鬼頭_お客さん(会員さん)ってまだつきあってくれるんですかね?

水谷_どうなんでしょう。

鬼頭_三分だけ休憩もらっていいですか。

東_お手洗いに。

水谷_はい、じゃ全体で3分休憩しましょう。

(休憩明けの東君と十一種のジャケ写の元ネタを見ながら二人トーク)

水谷_レアな写真見る?

東_こんなに荒れた芝生だったんですね!ジャケットは生い茂っていたのに。

水谷_そう。で、尚かつコレ全部オレのサックスで。

東_あ、そうなんですか!

水谷_ショートベルのコンを当時持っていて。これヤマハとコンばっかりなんですよ。合成写真なんだけどね。

東_玉川沿いですか?

水谷_そうそう。夏はもうちょっと芝生が青々としてるんだけど。もう枯れてて。あとで一生懸命修正して。

東_こういう時にショートベルがあるとバリエーションが出ますよね。

水谷_サックス吹きの人がどっかのサイトで話題になってたんだけど、サックス寝かせて置くとき、どっちを下にするか。

東_ああ、その話題ありますね。…あ、ちょっと待って下さい(鈴木君から電話)「ZOOM入室のリクエストしてます」だって。

水谷_ああ、はいはい、入って来て下さい。休憩の間、レアな写真見てもらってました。

(中略)

鬼頭_さて、YOUTUBEのアレの方に質問が来てますよ!

水谷_じゃ、質問に答えますか。

鬼頭_サービスしないとね。ええ、最初はですね「影響を受けたミュージシャンは?」だって。

鈴木_東京中低域でってことですよね?

鬼頭_なんでもいいんじゃない、別に。

鈴木_けっこう真面目な質問ですね。

鬼頭_みんな真面目な質問しかしてこないよ。

鈴木_つまんないね。

水谷_じゃ、鬼頭さんから。

鬼頭_む~。

水谷_こういうのね、いっぱいいるからね。一人上げるならば、みたいな、で。

鈴木_まあ、涼太はオレ(鈴木)でしょ。

一同爆笑

東_言おうと思ってたのにー。

鬼頭_じゃあそういうことにして、ぼくも鈴木くんです!

鈴木東大爆笑

水谷_そういう意味ではね、影響を与えてるよね。

鈴木_(小さな声で)とんでもない。

水谷_なに、しおらしくなっちゃって。

東_振っといてなんだよ。

鬼頭_東京中低域っていうバンドの中に於ける鈴木くんはやっぱり圧倒的にかっこいいすからね。

鈴木_何おだててるんですか。

鬼頭_いじめてるんだよ。

水谷_まあ、互いに東京中低域の中では影響を与え合っててね。松本(健一)さんとかからも未だに影響受けてるしね。

鈴木_そうですね(松本健一さんの)孫弟子みたいな人も出て来てね。松ケンさんにあったことないけど松ケンさんの影響受けた涼太の影響受けてるとか。

鬼頭_影響を受けつつ、その人と干渉しないようにしない自分を確立するっていうこと、ですかね。だから、特にこのバンドに於いては鈴木くんがかっこいいなあと思ったら、じゃ、鈴木くんと違うことしないといけないなって凄く思うってのが、ありますかね。ま、だから鈴木くんが一番すごいんだよ、ふっふ。

鈴木_これ、なんで褒められてるのに貶されてる気持ちになるんだろう…はははははは。

水谷_さいご吐き捨てるように(鈴木くんが一番すごいんだよ、ふっふ)ね。どうなんでしょう、それは、ぼくや涼太からみると「(すごいのは)鬼頭さんと鈴木くん」ってなるよね、バンドの中で、こう(ひっぱってもらってる)。でも、じゃあ、筒井さんはどうなんだっていうと、筒井さんからもだいぶ影響受けちゃってるよね。いろんな意味で。

鬼頭_みんなが何やってるかっていうのは気になってしょうがないし、意識しますよね。

水谷_サックスオディティーズのレディオパニックでの「欲すること」の筒井さんの、自分が吹くとき以外「無」になってる感じとかね。…いや、こういうことが聞きたかったんじゃないよね。

鬼頭_まあ、だけど。そういうことになっちゃいますよね。次、行きましょう!はい、えーと「海外ツアーで食べた一番美味しかったものはなんですか?」。

鈴木_まずかったものの方が印象に残ってるなあ。

全員大爆笑

水谷_そ、そ、それは何ですか?

鈴木_ロンドンのピザとか。

東_あ、オレもそれ思ってた。

鈴木_ロンドンも店を選べば全然美味しいじゃないですか、イギリスはメシがまずいとか諺みたいになってるけど。実際は結構ほんとにインド人がやってるインドカレーとか、中華だってイタリアンだって美味しいっちゃ美味しい。初めてツアー行った時、夜フリーになった時に涼太と街に出て行って、今だったら絶対行かないですけど、コンビニじゃないけどショーウインドウのあるお店で…レストランなのにもう作っておいてある、見かけはメチャクチャ美味しそうなんだけど、で、食べてみたらほんとにメチャクチャまずかったね。

水谷_一回目のロンドンってライブやった場所「ピッツァ・オン・ザ・パーク」だったじゃん。

東_そこは美味しかったですよね。

鬼頭_美味しかった!

鈴木_ああ、だから「ロンドンはピザが美味しい」みたいな感じになってたのかな。

水谷_「ピッツァ・エクスプレス」とかね、ジャズクラブになってるイタリアン・レストランも多いしね。一回目のロンドンのときにあそこ行ったじゃん「ロック・アンド・ソウル・プレイス」。

鈴木_フィッシュ・アンド・チップスの店!

水谷_鬼頭くん行ってないかな?

鬼頭_どうだったか?あんまり覚えがないすね。

水谷_あそこで色んな魚をね、基本ハリバットとコッド、オヒョウとタラを頼むんだけど。スケイトとか言って…エイとかサメもあって。で、デザートでバナナのフリッターにカスタードクリームがかかってるヤツがあって、覚えてない?

鬼頭_それは覚えてないです。

水谷_それをヒロシが「コリャあ食えないっす」って言ってたよね。

鈴木_はい。

水谷_人が食うもんじゃない、みたいなこと言ってたよね。

一同爆笑

水谷_よその国に来てそういうこと言うなよ、って思ったんだけどね。あれはまあ好き嫌いは別れるけどね。ライスケーキとかもね、僕は好きなんだけど。

鈴木_どんな料理?

水谷_米がプリンになってる。甘い御飯。カスタードクリームがかかっているのよ。

鈴木_おはぎとは違う?

鬼頭_ん、まあ、餡子ではないからね。ま、食べなくてもいい食べ物だとオレは思ってるけどね。

水谷_ま、イギリスのおはぎみたいなもんかもね。

鬼頭_最初にロンドン行った時は伊都子さんに連れてってもらった中華が美味しかったですね。

水谷_ああ、リドリー・スコットとかが来るみたいな店だったね。やあ、ロンドンは中華は美味しいよね。エスニックもね。

鈴木_なんかあのー、なんかの根っこみたいな。

東_アーティチョーク?

鈴木_アーティチョークを缶詰じゃない状態で食べたの、美味しいと思いましたね。

水谷_松ぼっくりみたいなね、大きなやつね。フェスティバルホールの近くの「アンカー・アンド・ホープ」ね。ぼくはなんといってもベスナルグリーンで食った焼きそばですよ。中野ユウヒくんが連れてってくれた「老地方」って書くお店なんだけど、辛いやきとりみたいなのと、ぱさぱさでしびれる感じの焼きそば。

東_ロンドン(2008年)に着いてすぐ行った時ですよね。

水谷_ユウヒくんのアトリエに送ってあったCDを受け取りに行った時に「どっか美味しいとこない?」って聞いたらユウヒくんが連れてってくれたとこで。凄く美味しかったね。

鈴木_…う~ん、やっぱ美味しくなかったもののほうが覚えてるなあ。

鬼頭_ほんと?オレ一番最近行ったマドリッドがやっぱり中低域のツアーでは食い物一番うまかったかなあ。

東_マッシュルーム!

鈴木_パンにイカリングがはさまってるだけみたいなヤツ。

東_ありゃ美味しくなかったね。

鈴木_すごい行列だったんですよ、朝。

鬼頭_オレも行った行った。

鈴木_朝、行列に並んで、パンに、イカリングっていうのが…。

鬼頭_んー、まあ、コロッケとソースのほうがいいよね、パンには。

水谷_アテンドしてくれた国際交流基金の綺麗な女性がいたじゃないですか、あの人も「あれ(イカリングパン)は特に食べることないかな」って言ってたな。よりによってそれは食べることはないって。チュロスは美味しかったね。

東_はい。あと、オランダの屋台で売ってたヘリング。

水谷_あれは美味しかったねー。

東_タラじゃなくって…えーと、ニシン!

水谷_あれは又食べたいね。でも半生だから輸入出来ないんだよね。

鬼頭_それはそうですね。

水谷_日本で出してくれる店も見たことないけど、あるのかなあ。

鬼頭_新鮮な魚があれば自分で作れますけどね。ピクルスと一緒に食うのがうまいんすよ。さて、次の質問。あれ、無いか、もう。

鈴木_「鬼頭さんは今ピザを食べてるんでしょうか?」

鬼頭_オレ?ピザです。

鈴木_へえ!

水谷_だから、何(笑)。

(以下さらにさらにさらなる後編へ)

鬼頭_ピザなんて自宅で美味しいのが作れますからね。

水谷_鬼頭さんのところには上質の小麦があったりするの?

鬼頭_あ、求めてらっしゃいます?

水谷_いや、麺打ちのために良いものを集めてるのかなって思って。

鬼頭_常時5キロくらいはありますよ。水谷さんもパン作ってますよね、足らなくなったら仰って下さい。

水谷_ありがとう!いずれお願いするかも。

鈴木_あ、なんか(視聴者からの)質問で「伝説のメンバーとそのエピソードで話せる範囲のものがあれば語って下さい」って。

水谷_まあ、伝説のメンバーっていったらもう…ねえ‥鶴田くんになるんでしょうけども。

一同爆笑

鈴木_もう話せないじゃないですか、その時点で。

水谷_そう?いやいや。そうなの?

鬼頭_今までやめてった人の中で、もしもう一度やりたい人誰って聞かれたら、おそらくベスト…10位に鶴田くん入るかな。

一同_10位(爆笑)

水谷_シリアスな意味では、ぼくにとって、在籍した人の重さは等しく同じで、それぞれ意味が有って…ま…無い人もいるけど。

一同爆笑

水谷_いや、それはたぶん皆が思ってる人じゃなくって…最初の方にいた人でもなく、最近までいた人でもなく…。

鬼頭_誰だろうなあ。

水谷_ま、今でもメジャーなシーンで活躍してる人だけど、在籍の期間も短かったし、ウチのライブには一本出たか出ないかくらいの人でね。その人以外の皆さんは一緒にツアーに出たりレコーディングをしたり、それぞれ重みがあって。なので結成メンバーだから凄いとか、入域歴が浅いから軽いとか、そういうことでもないんですよね。そういうのを均していくと…鶴田くんになるんですよ、エピソードも多いし。

鈴木_…鶴田の話になったら、急に電波が…。

鬼頭_鶴田くんのことはみんな好きだったですよね。

鈴木_今日これ見てたりしてないかな。

水谷_見てないでしょ、これ(会員さん)限定だし。…彼も色んなエピソードがあるんだけど、高速道路のサービスエリアでツアーバスを他のクルマにぶつけたりして。…こりゃ駄目だな、全カットだな。

鬼頭_鈴木くん、せっかくのタイミングだから、好きな鶴田くんの話じゃなくて「あの人は嫌いだった」って話をしてよ。

鈴木_(空を見上げて長い沈黙)

水谷_どれにしましょうかって言い出しそうで怖いね。

一同爆笑

鬼頭_全カットでいいからさあ。

鈴木_先にみなさんしてからでいいですよ。

鬼頭_多分この第一世代は本当にいろんな人たちとやって来たじゃないですか。ちょっとツライ時とか、鈴木くんは無かったですか?

鈴木_いや、意外にそれ(ツラさ)、鶴田に感じてた、それは。

鬼頭_あ、そう、確かに「なんでこんなヤツがここにいるんだろう」って思ったけど、でもなんかメキメキ、ね。

鈴木_そうそう。

鬼頭_演奏が良くなった訳でもないけど『ここにいて良いひと』になったじゃんか。あれ、水谷さんがいなくなった。(水谷が突然ZOOMから消えた)

一同爆笑

鈴木_新しい消え方。

鬼頭_でも鶴田はほんとに…。

東_でも良くなった矢先にフッていなくなっちゃいましたよね。それが一番こっちは淋しいっつーか。えーっ?てなりましたよね。

鈴木_なんか認められ始めたらいなくなっちゃたよね、いきなり。

鬼頭_いや、バンドとの兼ね合いじゃないみたいだよ。家庭とのことで。東_あ、そうなんですね。じゃあ本人の意思とも違ったりするんですかね。

鬼頭_みたいだよ。あの…一回目のバリトンサックスフェスのために毎週配信をしてたのに突然来なくなった。なんでいなくなったか判らないんだけど。彼んちに電話するとお母さんが「もうジュンイチには関わらないでもらえますか」みたいな感じだったんで。勿体ない、ほんとに勿体ない、彼は。…ところで水谷さんどうしたんだろう。

東_ははは、水谷さーん!ホストが抜けるっていうの、できるんですね。

鬼頭_中継はされてるのかな?

鈴木_中継はされてますね。水谷さん消えた、って今チャット入れた。水谷さんさっきから電波悪かったからね。

鬼頭_これは水谷さんの罠?

鈴木鬼頭_じゃあ涼太、ここで水谷さんの悪口を。

鈴木_さっき涼太、なんかおべっかしてたじゃん。水谷さんの曲を、とか。

東_おべっかじゃねーよ。

鈴木_水谷さんの曲が演奏出来る喜びが、とか。いっつもそんなこと言ってないじゃん。

東_あなたには言わないよ。なんで鈴木にそれを言うんだよ。

鬼頭_くくく、ふふふ。

鈴木_黒ヒガシ出しちゃえよ。

東_無いよ、そんなの。

鈴木_ブラック・リョータをここで。

東_いないいない。

鈴木_どーぞ。いまブラック・リョータ・タイム。

東_なんだよ、その振り方…水谷さーん!

鈴木_水谷さんホントにいないね。もうこれで終わり?

東_コレで終わりってこと?参加者「3」になってるから。

鬼頭_まあ、とりあえず戻って来て「お疲れさん」まで。電池切れてるかも知んないし。

鈴木_じゃあオレ(お酒の)おかわりとってくる。

水谷復帰。

東_ああ、水谷さん帰って来た!鈴木と入れ替わりに。お帰りなさいませ!

鬼頭_どうしたんすか?

水谷_どもども、これあっち(YOUTUBE)の方は行ってるかな?

東_ずっと流れてます。

水谷_ごめんね。ぼくのほうの接続が落ちてました。

東_良かったです、ワザとじゃないんですね(笑)。今日、最初はいつもよりYOUTUBEとの時間差が少ない気がしてたんですけど、だんだん遅延が出て来たみたいですね。

鈴木_水谷さんがいない間に涼太が爆弾発言を。

水谷_ほんと?

鬼頭_くくくく。

鈴木_人がいないところでこういうこと言うんだ、って思いましたよ。

東_あとでアーカイヴ見て下さい。

水谷_うん、ぼくアーカイヴ見てテキストおこしするからね。楽しみ。で、何話してたっけ?

(さらにさらにそしてさらにさらなる後編に続く)

鈴木_質問なんだっけ、伝説のメンバーのエピソードだったかな。

水谷_結成メンバーのエピソードも無くはないんだけど、そのあと色んなことがあったから。ごくごく初期だと…メンバーではないんだけど、赤チンがレコーディング中に救急車で運ばれたとか。

鬼頭_えー?(覚えが無いなって感じ)

水谷_胆道結石が悪化して、ずっと我慢してたんだけどレコーディング中に「もう駄目だ、救急車呼んでくれ」って。そのまま入院して手術で胆石とったとか。きょーれつな出来事ってそんな感じかな。あとは…どうだろう、上運天くんとか松本さんとか…やっぱり鶴田くんとか。みんな朗らかで良いメンバーでしたね。

鬼頭_だからといって今いて欲しいかっていうとそうでもないかな、悪いけど。

水谷_それはいつも常にね、現メンバーがベストであるから。そういう風にチェンジして流れて来てるから。

鬼頭_みんな辞めてくれてよかったっすねー。

水谷_ちょっと(鬼頭さんが)鈴木化してる。

東_鈴木化!(笑)

水谷_20周年を振り返るといっても、あんまり過去の話をすると井出崎くんとかヒデとかこーせーとか置いてきぼりになって淋しくなるからね、難しいよね。彼らだって2つ3つ海外ツアーも参加してるし、20年前からいたんじゃないかってくらい存在感のあるメンバーだしね。

鈴木_ほんと、そうすね!

東_そうすね、井出崎くん、こないだ(の海外ツアー)が初だったんですよね。

鈴木_なじみがすごいよね。

東_2回くらい一緒に旅してる気がしちゃいますけど。

水谷_すごく自然にビデオで芝居をね、やってたよね。なんの疑問も抱かずに。いい子だよね。みんなも最近はさ、ぼくが作っていく家面なんかも、躊躇なくかぶって吹くじゃない、そこがウチの面白いとこだよね。

鈴木_(家面に)名前書いちゃったりして。

水谷_そういうのがダメだった時代もあったよね。

鈴木_楽器を床に置きたくないっていうヒトもいましたね。ケースに入れたいって。写真撮影の為に楽器を床に置くだけなのに「嫌だ」って。

東_え、それ鈴木じゃなくて?(笑)

鈴木_いや、オレ、そもそも学校の楽器だったし。

一同笑

水谷_ま、ひとそれぞれコダワリがあってさ。「楽器をバゲージクレームには預けられない」っていう人もいてさ。壊れるリスクがあることはどうしても嫌だってね。それもよく判ります。だけど、それをやらないと旅が出来ないって時にさ、どっちを選択するかってことで。それが出来ないヒトは東京中低域では海外に行けないってことになっちゃうからね。

鈴木_いや、ただ自分で楽器用の飛行機の座席を買えば良いだけのことじゃないすか、そういう人は。

水谷_ま、ひとそれぞれでね。皆さんが(できれば機内に持ち込みたいという気持ちを)譲ってくれてるおかげで海外が出来ていてありがたいと思ってます、バンマスは。ちょっとずつ状況は良くなって来ているんだけどね。

鈴木_さっきの水谷さんの話と逆になっちゃって、変な感じなんだけど。例えばこないだお面かぶることで、ま、口の穴から見える鼻とかヒゲとかで誰だかは判るにせよ、匿名性が出る訳じゃないですか。あれこそ、なんか、面白いなってスゴク思って。ま、もちろん個性はそれぞれ出るけど。最終的に全体として面白いかどうかということで。自分がオイシイとかっていうことじゃなくて。自分にソロパートがあるとかないとかじゃなくって。バンドがというか、その日が面白いかどうかに集中できるのが良いなって思います。そのヒトが「自分推し」だったらお面かぶるのって屈辱かも知れないし。そうじゃない人たちが今集まってて。

水谷_帽子&眼鏡&マフラーとかね、そういうことをし始めた時点で、家面つけるまでもなく、揃えにいってて。匿名性の気配はあったよね。

鈴木_でもなんかビッグバンドがお揃いの服着てるのとは違うじゃないですか。吹奏楽とかオーケストラがタキシード着てるのとかとも違う。そこらへんのバランスが面白いっす。

水谷_オシャレでありたいってところはあるよね。お面もね、予算が許す範囲で、なんかチャーミングであるものをね。そういうところはハズしたくないね。スカパラさんっぽいバンドがみんなスカパラさんっぽいスーツ着ちゃったりするのとはまた違うあわせかただよね。

鈴木_なのに、匿名性で誰が誰ってことでやってる訳じゃないのに、例えば全然違う人が東京中低域の曲を多重録音しても東京中低域にならないっていうのも面白いなって。

一同感心の沈黙

鈴木_あれ?オレいまスゲーつまんないこと言ってる?

水谷_いやいや、いいことなんだけど…。

鈴木_つまんないっていうか…それ(多重録音で東京中低域)は是非やってみて欲しいし、それをやる人がどんどん出て来て欲しいんだけど。ツイッターかなんかで、ステイホームな感じで「東京中低域の曲ひとりでやってみた」みたいな人がいて。

鬼頭_うん、あったあった。鈴木_やってくれて嬉しいなって思うし。でもそれは、東京中低域は個性じゃないように見えて…バリトン持ってる男がいるだけに見せてるのに、実際フツーの人がフツーにやるとそう(東京中低域のように)ならないっていうのがスゲー面白いなって。

一同沈黙

鈴木_…はい。

一同爆笑

東_やあやあ、そうよね。

鈴木_さっき、オレだけ東京中低域の醍醐味を言わせてくれなかったの。

水谷_あはは、そうすか?

鈴木_みんな言ったでしょ?オレ聞かれなかったから、今言ったの。

一同爆笑

鈴木_それが醍醐味!

(もうあと少しだけど更なる後編に続く)

水谷_ぼくらが突然海外に行ってさ。よその国の人が先入観無く、我々の登場を見て、言葉とか、元々のカルチャーがみんな違う国の方々が、一様に面白がり方…同じところに楽しみを感じるっていうのがそんなようなところだよね。

鈴木_たぶん、もう、名前とか絶対覚えてないし、顔も全員おんなじに見えてると思うんですけど。でも全然ちがう人を集めてやれば出来そうなものが、そうならないですよーっていうのが結構面白いかなって。ま、この話はいいや。醍醐味言ってもいいすか、東京中低域の。(どうやらずいぶん酔っている)

東_ははは。

水谷_今の(醍醐味と)違ったんだ(笑)

鈴木_さっき言いたかったんですけど。振られなくて。

鬼頭_こいつ、ミュート。

鈴木_なんか、別の話になっちゃうけど…あ、誰も聞いてないじゃん。水谷さん今YOUTUBEのコメント欄見てたでしょ。

水谷_いや、だいじょぶだいじょぶ。聞いてる聞いてる。それで醍醐味とは?

鈴木_あの、なんだっけ?あ!(また水谷がYOUTUBEのコメント欄見てる)

東_水谷さん、いまワザとですね、ははははは。

水谷_いやごめん、はい、醍醐味、どうぞ。

鈴木_ぼくは今日の中では唯一、お客さんとして東京中低域を聞いている人な訳ですよ、結果的に。涼太が大学大学院6年間聞いたことが無かったのとは違って。

水谷_またダルセーニョしてそこに戻る訳ですか。

鈴木_で、その時に、初めて見た時に、ブワーッていう音圧なのかな、音ですね、凄かったから。で、しかも入ってから判ったけど、人数がいても出ている時と出ていない時があるんですよ。

鬼頭_ほー。

鈴木_なんでか知んないけど。いい感じの時とイマイチの時とあるじゃん。曲とかじゃなくて。コンディションとかでもなくて。そのいい感じの風のような、音のブワーっていうのが東京中低域はたまに出る…のがオレは凄い醍醐味だと思いますけど。

鬼頭_うん、たまにだよね。

鈴木_たまに出る。ライブで一回出るときもあれば、ずっと出続けている時もある。結構でない時もある。リハで出ちゃって本番でない時もあるんですよ。でもそれが出る可能性があるっていうのがホントに凄い。で、それが出る為にはメンバーチェンジが必要かも知れないし、リハーサルが必要かも知れないし、不本意な配信もやらなければいけないかも知れないし、(空港で)楽器も預けなきゃいけないかも知れないし。

水谷_そうだねえ。

鈴木_なんか色々あるけど。とにかく「それ」が出ることがあるっていうのがホントに凄いことで。それはさすがにリモートじゃ出来ないよね。出来んのかな?いまんトコたぶん出来ない。

東_少なくともこっちが感じられる感じではないですよね。

鈴木_客席で聞いたこと無いと判んないよ。

東_ははははは。

水谷_ダルセーニョ2だね。

東_引っ張るなー。すごいねホント。何年ぶりかに凄いと思った、その引っ張り方。

鬼頭_う~ん。

鈴木_それがベスナルグリーンで、教会でやっぱり出ちゃう。

水谷_うん、そうだねえ。

鈴木_あの出ちゃうのは凄いですよね。

水谷_一昨年(2018年)のベスナルグリーンは出たね。ほかにとっておきたかったけど、ロニースコッツとかに。それはさっきのリモートとかにも通じるけど「お客さん」っていう要素も大きいんだよね。あの日のベスナルグリーンのお客さんっていうのが凄かったんですよ、きっと。たくさんいるっていうのもあるのだけれど。聴きにくる感じがね、どっちがガツっと来てるかっていうと、ロニースコッツよりもベスナルグリーンの方が…かも知んないね。ぼくらの構え方っていうのもあるかも知れないけど。

鈴木_はい、それが醍醐味だと思いまーす。

水谷_ほかのみんなは醍醐味言ったっけ?

鬼頭_言った言った。

鈴木_涼太はなんか水谷さんの曲が演奏出来ることが喜びです、とか言っちゃって。

東_な、なんだよ、いいじゃんかよ。

鬼頭_今の鈴木くんの醍醐味を聞いて思うのは、鈴木くんが…こう…ワッてなる時とワッてならないと気があるとするじゃんか、それが醍醐味だとするじゃんか、オレ絶対いつも鈴木くんがワッてなれるようにバッキングチームでモノを整えておくのも醍醐味ではあるよね。オレたちは絶対変わらないように…気分とかシテュエーションとかで左右されない音楽を、っていうのも有りかなっていう気もするんだよね。だから、あそこの教会のあの響きで気持ちよく演奏が出来るっていう鈴木くんは有りだと思うんだけど、オレはそうこと全然関係なく、っていうのは醍醐味なんだよね。

鈴木_なるほどー。

水谷_今日はほかのメンバーがみんな見てるといいね。いろんな話があってここに辿り着いているからね。途中の変な話もいっぱいあったけど。

鬼頭_とりあえず今いるメンバーの悪口は誰も言ってませんよー。

一同笑

鬼頭_水谷さんがちょっと筒井さんの悪口言いましたー。

水谷_いやいや、愛すべき筒井さんだから。でもステージでふと筒井さん見ちゃうことがあって。見ると面白くって演奏出来なくなるから、いけないと思うんだけど、すんごい気になるんだよね、ステージ上の彼が。

鬼頭_筒井さんて(面白い瞬間が)多いですよね、ホントに。

水谷_あの人の…なんか良いですよね。東京中低域にいてくれて嬉しいなって感じがします。

鈴木_筒井さんは東京中低域に馴染むまでに、というか、良さが出るまでに結構時間がかかった方の人だなって。ま、オレもそうなんすけど。

水谷_いやいや、そう?

鈴木_オレの時は圧倒的に若くて。別に駄目でもそんなに怒られなかったですけど。注意されたりしなかったですけど。自覚としてはゼンゼン激ヤバだなと思ってて。やっててもゼンゼン何も判んないし。何がズレてるのかも判んないし。あってないような気もするけど何かうまくズレてるような気もするし。今も判らないことはあるけど。でも役立ってるという自覚が出て来るじゃないですか。ヤミーとかもそうだけど。はじめは空回りしてても、あ、そういうアレがあったんだ、みたいな。

全員うなずく

鈴木_たぶんそれは音。筒井さんずーっと音が合わない感じがしてたんですけど、それがなんか合うようになった後の伸びがもの凄いなって思って。それは彼は常にもの凄い努力してるじゃないですか。ま、別に努力しても駄目な人はぜんぜん駄目なんですけど。それが、オレたちからするとちょっと年上で…あの年でっていったら変だけど、あの…結実すんだなって思って。思わない、涼太?

東_うん。

鈴木_はじめ「なんかこの人リズムもピッチも音色も(よくない)」とか。

東_ってオレに聞くんだな。でも、うん。

鈴木_いいとこねえなって感じだったよね。

東_ま、うん。

鈴木_人柄はいいよ、人間は素晴らしい。

東_でもアドリブとかは面白いし…ってオレは思ってたけど。

鈴木_それはフォローでしょ?

東_いやいやピッチとか、そうね、リズムとかは、なんだろう、ホント…。でもそこから「ホントに伸びるんだ」じゃないですけど。変われるんだっていうは、ちょっと勇気にもなります。

鈴木_へ?

東_いやいや、いつだって変われるってことです。

鈴木_で、それが待てる人、自分的に待てる人と待てない人がいるじゃんか。

東_うん。確実に何か持ってないと、

サイレンの音。

東_ピーポーピーポー。

鬼頭_ごめんごめんごめん。うちの近所多くて。

東_何区ですか、そこ?

鬼頭_ここはね、三鷹市。

東_(話を戻して)でも、それがあるからかもね。筒井さんに対しては、オレはそう…。

鈴木_結構長い間さ、ずーっと首かしげながら、本人も首かしげてたよ、吹きながら、あれあれ?って。いまゼンゼン違うもん。ま、楽器のセッティングもあったけど。

東_確かに昔やってたこの(マイスピースをねじって)あれあれ?みたいなのは今ないね。

鈴木_そう、別にこうやって(マイスピースをねじって)チューニングがあう訳ではないから。

東_そうね。

鈴木_みんなもちろんあるじゃん、それが、筒井さんは結構長い間そのまま来て。で、途中でぐっと(技術があがった)。しかもなんか完全に超えられちゃったっつーか、本番でも。

東_凄いですよ、筒井さん。

鈴木_年下の僕らが言うのもおこがましいけど。今日みたいな機会があるとすると(言っておきたい)。涼太的に言うと馬鹿にしてた人が実は凄えんだみたいな。

東_オレを使うんじゃねーよ。

一同爆笑

鈴木_凄かったんだー、みたいなー。

東_そんなこと思ってない。

鈴木_ということかも知れないけど、あれはちょっと珍しいよね。凄いよね。

水谷_今となってはそんな時期があったことすら思い出せないくらい、ね。

鈴木東_うんうん。

水谷_ぼくはそういう風に感じたことは無かったんだけど、ただ、いい感じになって来た時に(筒井さんが)見えてきたというか、聞こえて来た。それまでは、判んなかったんだよね、本人は悩んでたのかも知れないけど。今はボクは割と全員がよく見えている状態かも…知れないね。見えにくかったのは新しいヒデ之くんとかさ、こーせーくんとかは見えるのにちょっと時間がかかった。一つ旅をしたりね、するとぐっと判るようになる。ヤミーとかもキャンディーのあたりぐらいから、見えてきた感じが。本人も(域における自分が)見えて来た頃かも知れないね。

鈴木_オレ、ヤミーの良さが判るのに結構時間がかかった。それは筒井さんとちょっと似てるっていうか。筒井さんとヤミーは東京中低域やってホント良かったなあって思うけど。普段、一回だけの現場であったら、良さ判んなかったかも知んない。

水谷_僭越な言い方をすると東京中低域に来て、ほかでは掴めないものが掴めて頂けたかも知れないね。ボクもそうなんだけどね。このバンドやんなきゃ判んなかったことがいっぱいあったから。判んないっていうか知らずに人生過ごしていたことだらけだったからね。

鈴木_しかも、ヤミーはツアーですごく頼りになるんですよ。

鬼頭_そうなの?

鈴木_オレ、ヤミーいなかったら、今いないって思うんすよ。

東_はっはっは。

鬼頭_なに?

東_パンツの替えが無い。

鈴木_ホテルのコインランドリーが壊れている時に「徒歩5分のとこにあるからオレ言って来ますよ」とかいって行ってくれたりとか。

鬼頭_あー、あったね。

鈴木_それがなんか凄い自然にやってくれんだよね。

水谷_テスコ(ロンドンのコンビニ)とかでお買い物する時もさ、無人レジのやりかたとかね、知ってて頼りになる…ってそんな話じゃないんだけどさ。意外と世間を、世界を良く知ってる。

鈴木_そういうことと演奏が一緒にバーっと上がってる感じが。

水谷_あー、そういうことってあるね、確かに。

鈴木_宮本大路さんがご存命のとき、彼の…。あ、誰ももう(YOUTUBE)見てないよね、いま。

鬼頭_だいじょうぶだいじょうぶ。

水谷_うん、いい話だから。

鈴木_すすすすす。(←笑っている)

水谷_いや、どうぞ言って下さい。

鈴木_東京中低域にいっぱい来たじゃないですか、大路さんの門下が。で、オレ大路さん大好きだし。家にも教則本が三冊とかあったりして。

鬼頭_へー!

水谷_意外。

鈴木_勉強とかしたりしてるんですけど。ね、宮本大路本があったりするし、彼のことは尊敬しているけど。彼が教えている生徒さんの感じっていうのは、彼がまだご存命の時は…結構難しいなって思ってて、プロになるのは。あー(言ってしまった)。プロになるのは、じゃないな、東京中低域でオレたちと一緒に音楽をするのは。オレたちだって勉強はするし、芸大首席の涼太だって普段勉強してます練習してます、でもそれとコンサートはまた違う場面で…。で、大路さん門下の方々は共に演奏するのが難しいなって思って、大路さんが東京中低域にゲストで来た時に打ち上げで話してくれることも凄い難しいなって思ったんですよ。なんか…悪口じゃないけど、例えばオレとかに「なんの楽器がメインなの?』って聞いて来てくれて「バリトンがメインなんだったら、ホントにバリトンだけでまず練習して、それからほかの楽器だよ」って言ってて。いやーそれ…ぜんぜんそんなのどうでもいいぜって思って…たんだけど。でも生徒さんだったら「どうでもいいぜ」って思わないでしょ?

鬼頭_まあね。

鈴木_自分の尊敬する先生だったら。でもオレも尊敬はしてるけど、むしろなんか勝手に…習ってるくらいの勢いで調べて、超えたいとか、ああいう風になりたいとか思うぐらい意識をしてたけど。でも実際の生徒が現場に出た時に…この話つまんない?

鬼頭_いや、面白い。

鈴木_東京中低域にはすごい関係のある話だから。

東_そうね。大路さんの話は。

鈴木_凄くせまーいせまーい日本のバリトンサックスの話でいえば…本人たちはきっと違うだろうね…オレたちがそういう風に見ちゃってるかも知れないけど。

鬼頭_うーん、それはあるかも知れん。

東_でも生徒の一人一人はもちろん違うよね。それで「あの先生の生徒はこうだ」ってみんなまとめられたら生徒もたまらんしさ。先生もたまらんし。

鈴木_そうだね。すげーもう…だって今日見てる人も結構生徒さんいるでしょ、きっとね。…あの…オレ、ひがんでるだけ。羨ましいなって思ってるだけだけど。東京中低域を使って練習してんなって感じたんですよね。

鬼頭_大路さんの弟子が?

鈴木_はい、普段よそで練習して、こっち(東京中低域)はもうぶっ壊れる場所じゃないですか。恥かく場所です。

鬼頭_恥はかかなくてもいいかもしんない。

鈴木_いま練習してるなって、別に(大路さんの)生徒だって知らなくても。その殻を破ってくれないなって。亡くなってから、みんなどんどん殻を破ってきたなって感じがるすけど。…この話しないほうがよかったかな。

鬼頭_いや、いいんじゃないすか。

水谷_そう思ってうちに送り込んでくれたんだったらね、こっちとしては、う~ん。

鈴木_ぜんぜん違うぜって本人たちはね。

東_当事者たちはそういうことがあったらアレですね。

鈴木_すげえムカつくだろうね。

水谷_ボクは大学の歌の先生とかはちゃんといたんだけど、サックスほどそんなにかっちりしたアレが、ま、あのままボクがクラシックにいたら話は違うのかもしれないけど、そんなに先生に教わるということを一生続けて行くってことがない感じなんだよね。器楽の人は結構長く師弟関係というのは続くものなの?

東_もちろん人生においてずっと先生は先生ですし、そういうのはあるとは思うんですけど。その姿勢っていう意味で、どこから…なんていうんでしょうね、でもずっといるんですよ。ずっと先生先生って言ってる人もいますし。ボクはちょっと違和感があって、レッスンをずっと受けていたりとか、そういうことには違和感があるので。ちょっと違うなって思うんですよ。ずーっとレッスン受けたいっていうのは、もうその人になりたいっていうのかなって。

水谷_どっかでこう、先生が先輩くらいになって、で、同じ音楽の世界に出たら、ま、先輩ではあるのだけど同じフィールドに立ってしまったらね。恩があったりとか、大切なことを嘗て教わったとか、そういうのはね大切にすべきだが。全てを先生経由でしか出来なくなっちゃうと、ずっとその関係性がスライドしていっちゃうから、どこかで並んで、先生が見てたのと同じ景色を見るところにいかないと、先生が望む巣立ちが無いというか、花開く時が来ないというか。人によってそれが学生時代で終わってしまう人もいれば、プロになってからも初心に戻る為にっていうのがあったりするかも知れないね。次回は筒井さんとヤミーがいるから、大路さんのお話は次回に譲りましょうか。うちでいうともうその二人なのかな、大路チルドレンは。

鈴木_こーせーくんは?

水谷_そうなの?まだ彼のプライヴェートはあまりしらない。

東_こーせーは誰が連れて来たんですか?寅蔵さんですか?

水谷_だれだっけ?

東_じゃ、次回に続くってことで。

水谷_最終回にこーせーは誰が連れて来たかっていう謎が解けるという!すぐ判るんだけどね、きっと。

鈴木_山中くんは?

東_寅蔵さんじゃない?

一同???

水谷_ふと気づいたらいるね、ヒデね。一緒にライブやってるけど、まだ正式じゃないっていう時期があった気がする。

鬼頭_あー、そういうのありましたね。

水谷_で、なんかMCで正式メンバーになりましたって言った気がする。二回くらい名前も変わってるんだよね、ヒデ。グラグラしてるね。

鈴木_ヒデ之くんもめちゃめちゃ演奏が変わりましたよね。

鬼頭_変わったねえ。

水谷_それは良くなる悪くなるとかではなく。東京中低域に「噛み合って来る」みたいなことなのかな?

鈴木_いや、良くなったのだと思います。さっき言った音がブワーっとなってるときに、そこに居られるっていうか。むしろそのきっかけになったりとかしちゃうことがある。なれない人は一歩引いちゃうというか。ま、下手でもぜんぜんね、オレも下手な方だし、あの首席の涼太にくらべたら。

(一同またか、と、スルー)

東_ずっと山中くん、存在感が薄かったというか、いるのかいないのか判んなかったみたいな頃が…

鈴木_やっぱ首席のいうことは違うね。

東_ちがうんすよ、遠慮しすぎてて、そうだった時期があったなって、思い出しました。いまゼンゼンそんなことないですけど。

鈴木_なんか、音、だよね。

東_で「リンダ、ヘザー…」の最後の方にアドリブがあるじゃないですか、あれ超かっこいい時ありますもんね。

鬼頭_あんだけ吹いてれば、なるでしょう。どんだけ何遍も何遍も…そろそろコツ掴んでグッといけや、って思ったことか。もちろん時間がかかっても良いんだけれども、モノにしたからね。

水谷_東京中低域のなかでは数少ないメロディアスな、シングルみたいな曲をね。

鬼頭_それをなんでアイツがやってんだっていう。他の曲とのしがらみでヒデが吹くのも良いんだけど、あの曲はエースが吹いた方がいいんじゃないかっていう。ま、なのにヒデがっていうのが面白いんでしょうけどね。ホントに鈴木くんとか東くんとか吹いたら一発でバシッと決まるところを、もー長い時間かけて、もー、ほんとにもーって。

水谷_ジョージ・マーチンがアビーロードというアルバムを録ったときに「オー・ダーリン」という曲ね、あれポールの曲だからポールが歌うんだけど、あれはジョンが歌った方が良かったんだってっていうのを言ってて。ただポールも薄々そうだと思ってながら、毎朝スタジオに一番に来ては毎日あれを歌ってたんだって。だから何テイクも残ってるんだと思うんだけどさ。そういうようなことが楽曲とリードボーカル、器楽の場合だとソリストでね、起こるという。ジョンの「オー・ダーリン」も聞きたいんだけど、ポールが意地で歌いきったあれは今やポールが歌った方が良かったというね。そんなようなことが起こるのがバンドだったりするから。

鬼頭_まあね、そうすね。

(まだ終わらないのよ、さらにさらにさらなる後編へ) 

水谷_それでヒデ之が何かをゲットしていってくれれば、バンドにひと味たしてくれればシメたもので、ね。

鬼頭_今までの「この人はこういうことをするだろう」というのとは違う場面が一つ出来るだけで全然…バンドの色が増えるので良いと思うんですけど。…未だに「リンダ、ヘザー」終えてヒデがドヤ顔するとカチンとくるんですけどね。

鈴木_(爆笑)なるほどー。

水谷_あの曲…2分かそこらの短い曲なんだけど、あれやると美味しいところをガサーっと持ってっちゃうところがあるよね。

鬼頭_そうなんですよー。

鈴木_上運天さんがやってたんですよね。

水谷_ウンテンくんも最初はあの曲、掴みあぐねていたみたいだけど、ブリュッセルとか旅しながら吹いているうちにどんどん良くなっていった感があるよね。音楽とプレイヤーの出会いと熟成と…なんというか…ラブが出来上がっていくという。

鬼頭_意外と…管楽器とだけ向き合っている人にはとっつきにくい曲なんじゃないですかね、あれは。

水谷_歌メロみたいなメロだしね。

鬼頭_自分なりに歌詞をつけて歌っているような吹き方をすれば…っていう曲だと思うんで。そこで自分の中のリズムを作っていけば、と思うんだけど、ヒデくんも最初は音符を追っかけている吹き方だったでしょ。それが「何か歌詞をつけたのかな」っていう吹き方になってるから(良くなった)…っていう感じがしてます。

鈴木_なるほどー。

鬼頭_まあ…でもなーーーー。「リンダ、ヘザー」はボクと寅さんがやっているリズムのパートも凄く楽しいんですよ。あれは美味しいです、バリトンサックスとして。

水谷_ちょっとシャッフルの…ちょっと跳ねる感じ。

鬼頭_そうですね、ものすごく難しいリズムだと思います。

水谷_2018年のツアーの前に(鈴木)慶一さんがボクらのライブ見に来て「東京中低域はシャッフルの曲が多くなったよね」って言われたんだけど。

鈴木_へー。

水谷_シャッフルの曲が多くなった訳ではないんだけど、たぶん(バンド全体が)活き活きしたリズムに変わって来たからだと思うんだけど。「シャッフルの曲が増えたからジャズフェスでウケるよ、水谷くん」って言って帰ってったのね、慶一さん。それが印象的で。その時点ではそんなにシャッフルの曲増えたかなってハテナマークだったんだけど、きっと(バンドが)出したいグルーヴが出せるようになってたってのがあるのかもしれない。

鬼頭_単純に最近のレパートリーの中でもエレキベースでは出せない、ウッドベースでも出せない、バリトンサックスで出すリズムの感じに…シャッフルではないんだけど、3連的な…発音とタンギング…うまく口では言えないんですけど。そういう感じが持続し易いっていうのがあるんですよ。本来はそういう曲ではないのかも知れないけど、そっちに寄せてるかも。するとバンドとしての演奏が落ち着く方法として、そうしているかも知れません。

水谷_リズムのとり方というのではなく、音の長さの切り方で、シャッフル…ではないんだけど、リズムが変わって来る、みたいな…。そういうことが活きた「節」みたいになるのかな。ベタベタしていない、ちゃんと鼓動としてのモノになっていく…リズムとかグルーヴとかいう言葉しかないからアレなんだけど。それに上モノのヒデ之がちゃんと乗っかるとあの曲は良くなる。

鬼頭_そういうこと言い出すと初期メンバーにいた、背の高かった人とかはリズムが…。

鈴木_吉田さん?

鬼頭_違う違う。

鈴木_クニさん?

鬼頭_いや、その人じゃない、その人じゃない。

水谷_ははは、けっこう背の高い人が大勢いたバンドだってことが判ったね。

鬼頭_う~ん。

水谷_伝説のメンバー?

鬼頭_伝説のメンバー、…Kさん。

鈴木_ああ、Kさん。

東_ボクお会い出来てないんですよ。

鬼頭_そっか。

鈴木_Kさんは床に楽器おきたくないって言った人。

鬼頭_鈴木くんはKさんは会ってるし、矢口さんも会ってるね。

水谷_最初の結成メンバーには、鈴木くん全員会ってるよね?

鈴木_おそらく。

水谷_あ、一瞬だけいた女子メンバーには会った?

鈴木_いや、その方には会ってない。

水谷_その方も伝説だよね。

鬼頭_真壁さん。あと高木くん。

水谷_高木くん、伝説って言っていいのかな。リハだけ来て本番には(焼き鳥屋のバイトがあるって)来なかったからね。

鬼頭_彼は死にましたからね。

水谷_あ…この辺は…もう、ね、混沌とした頃にはね、何やって良いか判んなかった時にはね、色々出入りがあった。

鬼頭_掘り下げる必要は無いけど、真壁さんとか今でもきっとバリバリやってるんでしょうね。

水谷_一回440とかに見に来てくれたことがあったかな。

鬼頭_あ、そうですか!

水谷_うん、やめられてから。ちょっとお話をしたかな。しっかりしたヒトですよね。世代的には鈴木くんたちと同じくらいの年齢じゃないかな。

鈴木_女性のバリトン?

水谷_うん、クラシック系かな、音大系だと思います。

鬼頭_ふっかふかの音でしたよ。

水谷_ほんと?音に関しては全然覚えてないわ。

東_どなたの紹介できたんですか?

水谷_わかんないねー。

鬼頭_どうせ吉田だろう。

水谷_アクタスとかでたまたま居合わせた人を…。でも、それはそれで大事だよね。

鬼頭_吉田くんが何のヴィジョンもなく色んな人を誘ったおかげで、ボクも鈴木くんも居る訳ですから。

水谷_そだね。

鈴木_そうだ、確かに。

水谷_噂で聞くといま(吉田隆一さん)SF作家とか…なの?あ…誰も知らない?まあ、常に話題に上るひとだよね。バリトンサックス界の要人だからね。

鬼頭_違うよね、鈴木くん。

鈴木_ぜんぜんオレ何にも知らない。涼太は吉田さんは?

東_吉田さん、ぜんぜん接したことが…。

鈴木_どうして東京中低域の先輩なのに調べてライブ見に行ったりしないわけ?

東_…そ、そうだね。

鈴木_あんまり人の演奏を見に行ったりしないんすかね。

東_そんなに、そんなに。きほん出不精なので。

鈴木_きほんステイホーム。

東_きほんステイホーム。

鈴木_うまい言い方だよね。

東_…かなあ。

鈴木_ま、オレもだけどね。

水谷_ちょっと鬼頭くん(トイレで)外してるけど…思い出に残っているライブとかあります?これスゲかったなあ、みたいの。

東_あ、東中じゃなくてですか?

水谷_いや、東中で。

鈴木_なんでお前の、東中じゃないので思い出を聞かなきゃいけねーんだよ。

東_いや、今の流れから、なんか聞きにいったヤツかなって思って…。えっと東中で、ですよね。

鈴木_当たり前じゃん。

水谷_あの時のあの曲のあの瞬間が、みたいのがあったりしたら。

鈴木_ベスナルグリーンかなあ。

水谷_最初のロンドンは何もかもキョーレツではあったよね。旅をするごとに面白いことは更新されてはいってるんだけどね。

鈴木_個人的にはさっきのアクタスで聞いたライブですけどね。オレが参加してないヤツ。あと矢口さんが辞めるとき。

水谷_あークラブキュー。

鈴木_クラブキューかクアトロか。

鬼頭_オレは覚えてないなあ。

水谷_その周辺の話だと。何度もバンドの危機はあったんだけど「じゃあもうバンドやめましょう、東京中低域を解散しましょう」みたいな話をいつも練習していたアクタスの上のラボエームでコーヒー飲みながらして。あの時誰がいたか…ボクと小田島さんと矢口さんと、鬼頭くんはいたっけ?

鬼頭_ボクはいないと思います。

水谷_そん時に実は小田島さんが「まだ東京中低域は終わらせたくない」みたいなことを言ってくれて。まだ達成感が全然ないんだよな、と。でもボクはその日は持ち帰ったんだよね、やめるって言って。ただ小田島さんがいつもの感じでさらっとやめたくないと言い残して帰ったのが、ボクの中にずっとあって。で、やっぱ(達成感を得るまでは)続けなきゃいかんなあと思い直したの。あの一言は…(重要な一言で)あるかな。あそこで綺麗にやめたらカッコ良かったなあ、っていうか(続けたら)オレが苦労するのが目に見えてたから…一人でやるのやだなあと思ったの。あのラボエームの(小田島さんの呟き)の瞬間がなかったら2年で終わってたバンドだね。そっからひたすらジタバタした感じだね。すぐインザマスのレコーディングの準備に入ったし。今までやってなかったことはちゃんとやっていこうというので立派なスタジオで録ってみたりとかさ、そういうことに着手して。ごくごく初期の頃にも海外に出てみようかっていう話はあったのね。だけどうまく行かなくって。それもやってから終えよう…っていうのは変なんだけど、インザマスから十一種にかけて必死にやってみたんだよね。だから(初ロンドンの)ピッツァオンザパーク終えた時にやめても良かったのかも知れないね。

鬼頭_ふっふっふっふ。

水谷_達成感つったらあそこがもうピークだったかな。チャーリーギレットが見に来てくれて。また伝説の話になるけど、ピッツァオンザパークの2デイズ終わって、ちっちゃい給湯室みたいなところが唯一の楽屋で、そこにみんな服を吊るしてあってね。で、終演後ボクは感動して、そこで落涙してたんですよ、楽屋で泣いてたのね。…たら、そこに鶴田が入って来て、ズボン脱いで着替えはじめて…いや、今はオレに泣かせてくれよー。ホーとかいう感じで入って来てブリーフになってさ、気が利かねーな、って思ったんだけどさ。でもそれも或る種の救いだったのかも知れないね…あのままムセビ泣いてたらバンド解散してたかも知れない。

鬼頭_そう、それを他愛のない日常にした鶴田がすごいんですよ。感動する場面ではなく、明日もコレをするっていう…そういうことですよね。いい話じゃないですか。

水谷_いい話だね。

鬼頭_初回のロンドンはすごく長く感じました。で、そんなに交流基金的な動きも何もしないでやったけれども。たっぷり時間があった気がしますね。何日行ったんでしたっけ、鈴木くん覚えてる?

鈴木_初回は撮影したときじゃないですよね?

鬼頭_いや、したした。

東_バッキンガム宮殿とかですよね。

鬼頭_ピッツァオンザパーク2デイズと本屋(レイズジャズ・アット・フォイルズ)と教会?

水谷_教会が最終日だったね。

鬼頭_本田さんがいたんだよね。

水谷_新井くんとね。

鈴木_11月10、11、12日。あと移動。

鬼頭_え、3日しかいなかったの?あ、そう?

水谷_それでDVD作って。ライブやって。…ああ、あの時はドラマ録らなかったから。

東_公園(グリーンパーク)のちっちゃいベンチに凄い密で座って写真撮った記憶があります。

鬼頭_あれ良い写真だよねー。

水谷_あれ撮っておいてビートルズの赤盤青盤みたいに10年後とかにまたおんなじベンチで撮ろうねってあん時言ってたけど。あん時はこんなにメンバーがやめるとは思わなかったからね。ま、この4人残しでまた新たな写真をあそこで撮ってもいいかもね。

鬼頭_まあまあ。

水谷_鶴田役とかクニさん役とか今のメンバーにやってもらって。

鬼頭_いやあ、水谷さん死んだ後も井出崎くんに撮りに行ってもらいましょう。

水谷_そうだね。でも3日か4日間だったってことだよね(初ロンドンの滞在)。

鬼頭_もちろん集中力があったからなんですけど、たっぷり時間があって色んなことを沢山した気がしますね。慌ただしかったっていうイメージがあんまりなくって。ほんとにツアーとか出ると時間が短く感じることが多いんですけど、あん時は色んなものが沢山見れたし、はい。水谷さんみたいに(現地着いてからも)実務やってると違うでしょうけど。久しぶりに会う人にすごく沢山会えたりとか。あれはいいツアーでしたね。あと、小田島さんとカレー食いに行ったんですよ。

水谷_小田島さん、ロンドン着いたらオレはステーキを食うってずっと言ってたけどね。

鬼頭_でもカレーだったんですよ。ボクが小田島さんに「カレーでも食いに行きます?」って言ったら「行こうか、行こうか」って着いて来ましたよ。

水谷_小田島さん「ロンドンと言えばなんつったてステーキだろう」って…オレには(それロンドンかな?って)判んなかったんだけど、牛肉食わなきゃみたいなこと言ってたな。

鈴木_言ってましたね。

水谷_(ロンドンは)第2の出発点だよね。アンディがいて伊都子さんがいてポールがいて。こんなに良いペースで海外ツアーが出来るバンドになるとは思わなかった。

鬼頭_ああ。

水谷_一番最初は一回できれば良いやっていう感じだったからね。これもよく話すけど(田中)クニカズくんが「一回だけで終わるのだったらそれは水谷さんの自己満足ですよ」みたいに責められて「じゃあ継続しよう」って頑張って2度目3度目と続いたと。2010年くらいまでは2年おきとか決めてた訳ではなく、頑張って行けたのが2年おきになってた感じなんだよね。2012年くらいから意識して14年16年と続くようにして来た。国際交流基金を頑張ってみたのが14年からだった。

鬼頭_鈴木くんって全部ツアー行ってんの?

鈴木_海外は全部行ってるかな。

水谷_途中で帰ったのが一回あったね。

鈴木_ノースシーの時に一回途中で帰りました。

水谷_ブリュッセルまで来てそこで帰った…。

東_そうです。

鬼頭_ボクは意外と行ってないんですよね。

東_鬼頭さん、(海外)何回お休みしてますか?一回だけじゃないですか?

鬼頭_2回ぐらい行ってないかな。

水谷_バービカンセンターの時のツアー行ってないかな。

鬼頭_あとカナダ行ってない。

東_カナダ~ベルギーの時か、それでこーせーが鬼頭さんのパートをずっと吹いてたんだ。

鬼頭_何故かDVDには全部出てるんですけどね。

水谷_いいねー。モントリオールのツアーも撮っとけばよかったな思いながら。赤チン連れてっておきながらね。ちょっとお金が足んなかったんだよね(タクヒロ監督の分)。ま、都合が合わなかったっていうのもあるけど。

鬼頭_鈴木くんが一番、中低域の海外は行ってるんだね。

鈴木_そうなんすね。

水谷_そっか、涼太は1回休んだよね。

東_そですね、ボクは1回、不毛な休みを…すみません。

鈴木_え、なんでだっけ?

東_うるせーよ。

鈴木_え、なんで?なんで?

鬼頭_なんだっけ?なんだっけ?

東_ははは、なんででしたっけ?

鈴木_理由は?

東_なんかコンクール受けてたのかも知んない。

水谷_実を言うとコンクールは終わってたんだよね?

東_いや…終わっちゃった(落ちちゃった)んです。終わってないはずだったんですけど。

鈴木_コンクール?

東_ま、そういうこともありました。

水谷_二十代最後、みたいなやつ(コンクール)?

東_そうです、そうです。当時はそうだったんです。30歳までっていう。

鬼頭_鈴木くんはそういうの(コンクール)は全然でるノリではなかったの?

鈴木_ま、涼太に任せてましたね。

東_意味わかんねー。

鬼頭_なんで?クラシックのそういうことには全然?

鈴木_もうそれは涼太にやってもらおうと思って。

鬼頭_なんでなんで?

鈴木_ボクは汚れ役で、彼が華やかな舞台でって。東くんには華やかな舞台で行って欲しかったんですけど…行かなかったんですか?行けなくって、東中のツアーも来なかった。

東_しかも、そう、もう駄目なのが判った時に鈴木から電話がかかって来て「(東中のツアー)行けば良いじゃん」って言われたんですけど…いやいや…よく考えると凄い話ですよね。そんなの今から行けるって言えるハズないじゃんって。

鈴木_え、なんで?落ち込んでたの?

東_違う違う。だってもう…大変でしょう、1人(後から)増えるのって。

鬼頭_それが2010年?

東_いや08年かな?

水谷_筒井くんが入ったツアーかな。筒井くんが東くんの代わりをやんなきゃいけないっていうので物凄いプレッシャーだったっていうツアーがあった。

鬼頭_08年か10年だね。

東_その時は2カ国とか行ったりしてますか?

水谷_いやロンドンしか行ってないと思う。

鬼頭_じゃ08年かな?

水谷_10年はオランダ行ったか…、そうだそうだオランダ行ったんだ。

東_あ、じゃその年はボクら(東&鈴木)帰っちゃったんだ。

鬼頭_てことはボクは08年と10年も行ってないんですよ。10年は東京中低域と1日違いで(渋さ知らズで)ノースシーに出たんですよ。

水谷_ボクらの後にノースシーに?

鬼頭_はい。ひょっとしたら会えるかなって思ったんですがね。

水谷_ワールドカップの年だね。

鬼頭_そうそうそう。オランダがちょうど…

水谷_スペインと決勝で。

鬼頭_決勝で負ける日だったんですよ。スティーヴィー・ワンダーの開演が(決勝戦のキックオフの時間とかぶって)2時間押したんですよ。

水谷_ボクらは決勝やってる時は飛行機の中にいて。日本について(録画で見ようかと)楽しみにしてたら、着陸したとたんに機長が「スペインが勝ちました」とかアナウンスで言っちゃったんだよね。飛行機の中は「えーっ」って感じでね、機長から聞きたくなかったよって。

鬼頭_もうそれが10年前ですよ。

水谷_東京中低域が始まった時はボクが39歳くらい、だったね。

鈴木_えー?そうなんすか?

東_来年還暦ですか?

水谷_うん。今の東くんとか鈴木くんの感じの時に東京中低域という新しいバンドがひとつ始まることになったワケだよね。

鈴木_へー!

水谷_今から思うと良くやったなと思いますよ。完全にシンガーソングライターとしてはヘトヘトの終わりかけのミュージシャンがバリトンサックスを手にしてこういうこと始めてね。始めただけではなく面白くなったっていう。良い人生送らせて頂いてます。

鈴木_そうなんだ、39歳…。

鬼頭_ほんとにその年齢からこういうことを立ち上げてやったこと、凄い!と思いつつも、ボクとか鈴木くんとか東くんっていう人と出会えて良かったですね、水谷さん。

水谷_良かったですよ、ホントに!

鬼頭_ほんとにもう恩着せがましいですけど、水谷さんがこうやって東京中低域ってこと思いついたことが凄いとしても、ボクとか鈴木くんとか東くんいなかったら…。

水谷_もちろんですよ。幾ら譜面を書いたところでね、音にならなければ音楽じゃないから。(東京中低域のみなさんに)出会ってなければこういう曲を書く人にはなってなかったと思うから。また昔話になるけど、最初はボクと矢口さんが曲を書いていたんだけど、何かの時に「歌ものをやめよう」っていうことになって。

鬼頭_それは矢口さんが言ったんですか?

水谷_いやバンド全体的なことなんだけど…矢口さんが言ったことになるのかな。でもボクもそうだねってその時は思ったんだけど。その時に矢口さんが「水谷くんが歌のない曲を書くのはそうとう不利だよね」みたいなことを言って。そん時はボクはそう思わなかったんだけど、あ、みんなはそう思ってるんだ、って。歌ものっていうより歌詞が無くなると水谷くんはだいぶモギ取られちゃうよね、って。で、ああ、そういうところが良いと思っててくれたんだなって思ったのね。ボクは歌うたいではあったんだけど、音符を組み立てて行く作業がとても好きだったので…東京中低域始まったときはもう今とおんなじスタンス、ズラズラっとインストが並んでて、時々オレの歌が入ると箸休めになるっていう。歌詞がフィーチャーされなくなることをそんなに(抵抗あると)思ってなかったんだけどね。

鬼頭_いやあ、でもボクは水谷さんの歌が面白いと思うし、う~ん、だからといって歌の曲ばかりにしましょうよという訳ではないんですが。箸休めっていうのとは違うよー、そりゃ違うよー。

水谷_ま、イーヴンなのね。物理的にマイクが無いヴェニューのときに歌もの1曲も無かったとしても全然平気だし。それでも、あ、今日歌もの入れといた方が良かったなっていう日もあるけどね。そのくらいのものですよ。でも「水谷くんが歌のない曲を書くのはそうとう不利だよね」といわれた時に若干の奮起はあったと思う。歌詞がなくても平気なことをオレ証明しなきゃって。…ってそんなことです。何の話してたっけ?あ、感謝してます!あの…バンドあってのバンマスだからね。

鈴木_なんか昔はヘタすると10パート、全員違うパートがあるっていうのが、編曲みたいな頃もちょっとあった気がして。そういうんじゃなくなった時期に3パートで9人とか、極端な話、全員ユニゾンの曲があるとか。やってるうちに、こう…。(長い沈黙)

鬼頭_フリーズ?

鈴木_いや、オレが譜面書いてる訳じゃないからアレですけど。アレンジのなんかこう、具体的な東京中低域の手法として、ベースパート、ハーモニーパート、メロディーパートっていう場面もあれば、全員パーツになってるけど実は組み合わせがある、とか、仕組みが面白くなってきてて。それによって生まれてる曲もあるような気がするし…それも凄く面白いなって思います。

水谷_もはや我々自身がバリトンサックス10人組である意識が無いじゃない?我々は東京中低域というバンドであるっていうね。バンドがあって音楽があるって。また振り返りになるんだけど、赤チンと対談した時に音楽があってマイクの並べ方がある、録音の方法があるから、録音方法があって音楽がある訳ではないので。その時出て来ている音に対してマイク立ててるだけ、ってね。10本立てるのか2本なのか。そういうことと同じような心意気かもね。表現したい音楽があってそれがユニゾンになることもあれば、みたいな。そのコダワリもごくごく初期に較べるとね(薄らいできて)、みんなもお客さんがドヒャっとなる音楽を作ろうという心が一致してるから、譜面を配った時点で、コレを音化した時にどうしたらドヒャっとなるかということに(全員で)向かって行く感じがね。…ありがとうございます!って最後いい感じになったかな?

鬼頭_まだ17人のみなさんが視聴してくれています。

水谷_でもこれ書きおこすとスゲーことになりそうな。テキストになると傷つけ合いみたいなことになってるんじゃないかって。

鬼頭_ほんとにちゃんと東京中低域の歴史的な掘り起こしをするんだったら、もっとちゃんとバンドの話とかもしますよ。今日はしてないよねーあんまり。

水谷_ちょっとずつ良い断片がとれればね。

鬼頭_だって鈴木くんが酷いんだもん。

鈴木_えー?

一同笑

水谷_東京中低域の一つのアレとして広志と涼太の掛け合いってのかな…。

鈴木_潰し合い。

一同笑

鈴木_次回は誰々なんでしたけ?

水谷_次回は第2世代なので、寅蔵さん筒井さん、そこにヤミーなんですよ。ただ寅蔵さんよりヤミーの方が若干(入域が)早かったりするのかな?

鬼頭_早いっすね。

水谷_なので、東京中低域テキにいうと(ヤミーの方が寅蔵さんより)兄さん。

鬼頭_その中では筒井さんが一番古いんですよね。

鈴木_見れたら見よ。

東_もう決まってるんですか?日程!

鬼頭_寅蔵意外と若いんですよ。

水谷_域年齢はまだ若い。第1世代が一番話題豊富だったんだけど、こんな風に…。

鬼頭_(第2世代以降は)それまでいたメンバーの悪口を言ってもらおうってね。ボクらはやめてしまったメンバーのことをあまり話題に出来なかったですけども、後の人たちはボクたちのことを悪く言ったら楽ですよ。

水谷_…そ、そうかな(汗)

鬼頭_鈴木くんのことみんな大っきらいでしょう。

一同笑

鈴木_いつが(鈴木くんのことが)一番いやだったかみたいな話とか。

鬼頭_えー?

鈴木_反省するために。どの時が一番いやだったかを聞きたい。

水谷_それを言った時にその次の日が一番いやな日になるよ。

一同笑

鈴木_あれをやられたのが一番いやだった、と。

水谷_ははは、それに上まわることをこれからやってやるぞ、と。

一同笑

水谷_そういうこと(じゃれあい)が出来るのも大家族的な、ね。長男次男三男、わたしゃパパですけどね。

鬼頭_いやあでもオレは長男ではないかな。

水谷_そうですか?

鬼頭_ボクと筒井さんと寅蔵はオジサンなんで。

水谷_東京中低域は年上をリスペクトしてくれるよね。入った順で決まる訳でもなく。

鬼頭_そんなことないよね、鈴木くん。

鈴木_いや、年上の方々を…、あの…、立てて、はい。入った順は関係ないすね。

水谷_そうだよね。

鈴木_(ボクの)ほかの人たちは。

全員笑

鈴木_寅さんは海外ツアーの時、オレたちが泥酔して「寅さん一緒に飲みましょうよ」って誘ったら「鈴木くんと東くんが誘ってくれた!」って喜んでバーカウンターにお酒とりに行って帰って来たら、もうオレたち帰ってたっていう…。そんなこともありますから。

水谷_そういうのって2~3度あるんじゃないの?

鈴木_あのとき限りですね。

水谷_わざとじゃないよね。

鈴木_わざとじゃないです、ほんとに。

水谷_わざとじゃないのもなんだなあ。

一同笑

水谷_誘っといてホントに忘れちゃったんだ。

一同笑

水谷_寅蔵さんが不憫だなあ。また次回寅蔵さんと直で話すけど、あの人も繊細な方で、ガラスのような。ま、筒井さんもそうか、みんなそうだよね。

鬼頭_筒井さんが一番繊細じゃないですか。

水谷_筒井さん、謎多きヒトで。大切にしなきゃ。

鬼頭_(コメント欄をみて)数少ない(視聴者から)…「次回はどうなるんだろう」って。今の話しろコノヤロー。

水谷_楽しい宴会になりましたけれども。次回も(みなさんトークに)入る?入んない方が良いよね。チャット欄でご意見下さい。世代別トークが一巡したら立ち位置別とかでまたやりましょう。オレたちは面白いけどみなさんはどうなんだっていうのはあるけれどね。

鬼頭_どーだっていいんですよ、そんなこたあ。

水谷_じゃあ、終了いたします!

一同_お疲れさまでした!

(2020年6月28日、3時間56分45秒のトークでございました)